続く2枚目のスライドにも、3つの項目がある。「解像力(Imaging)」、「重ね合わせ精度(Overlay)」、「マスク欠陥(Defectivity)である。
解像力に関しては、「NXE:3300B」は10nm世代の半導体を解像可能になっている。その先の7nm世代のロジックで解像力を評価したところ、疎密が混在する直線と狭い露光領域間のCDU(Critical Dimension Uniformity)は要求仕様を満たした。また15nm未満のDRAMでコンタクトホールを形成したときのCDUも、要求仕様を満たしているとする。
重ね合わせ精度に関しては、出力80WのEUV光源でテストした段階では「NXE:3300B」の製品仕様を満たした。ちなみにASMLのWebサイトによると、NXE:3300Bの重ね合わせ精度(厳密には重ね合わせ誤差)は3nm以下である。
マスク欠陥に関しては、フロント側の欠陥数を1年間に10分の1に下げることができた。ペリクル(レチクルの保護膜)の開発では、フルサイズの試作品が得られるようになった。フルサイズのペリクルは解像度に悪影響を与えていない。また取り外し可能なペリクルにより、既存技術でのマスクパターン検査が可能になった。
講演者のLercel氏は、具体的なデータのスライドも示した。例えば、24時間の時間経過とともにウエハーの処理枚数が増えていくグラフや時間経過とともに累積の露光回数が増えていくグラフなどをまとめたスライドである。
開発用EUV露光装置「NXE:3300B」による実績データ。左上のグラフは、24時間にウエハーの累積処理枚数が増えていった様子を示したもの。24時間で約1000枚のウエハーを処理できたことが分かる。右上のグラフは、レチクルに対する累積露光回数の推移。NXE:3300Bでは28日間で80万回に達した。前世代のEUV露光装置「NXE:3100」では、80万回に達するまでに約2年を必要とした。左下のグラフは、1週間単位でウエハーの累積処理枚数をまとめたもの。4週間連続で目標枚数に達した。右下のグラフは、稼働時間(アップタイム、青色)と非稼働時間(ダウンタイム、赤色)の比率を日単位で示したもの。黄色の折れ線グラフは、過去7日間の平均稼働率(クリックで拡大)(次回に続く)
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