複数のアナリストによると、Appleが14/16nmプロセス適用チップの調達先を分散する可能性があるという。Appleの次世代プロセッサ「A10(仮称)」の製造委託先は、TSMCとSamsung Electronicsに分散される可能性が高く、少なくともTSMCが独占的に製造するということは、なさそうだ。
Appleが、最先端プロセスを適用したチップを調達する量は、世界最大規模である。EE Timesが今回、6人のアナリストに調査を行ったところ、Appleが2016〜2017年に、14/16nmプロセス適用チップの調達先を分散する可能性があることが分かった。同社のこうした動きは、Samsung ElectronicsやTSMCなどのファウンドリメーカーに対して価格決定力を確保していくための戦略の一環だと考えられる。
アナリストによれば、TSMCは2014年以降、Appleの「iPhone 6」向けプロセッサ「A8」の唯一の供給メーカーとしての位置付けを享受してきたが、現在は、Appleの最新プロセッサ「A9」「A10(仮称)」の製造供給における優位性確保をめぐり、Samsungとの間で競争を繰り広げているところだ。またAppleは、価格決定力を高めていく上で、GLOBALFOUNDRIESを第3のサプライヤーに選んだという。
ここで注視すべきは、Appleが2016年中に量産開始を予定しているA10プロセッサだ。
Maybank Kim Eng SecuritiesのアナリストであるWarren Lau氏は、2015年8月24日付のレポートの中で、「TSMCは、AppleのA9プロセッサの3分の1と、A10プロセッサの半分を製造する予定だ。Appleがサプライヤとの交渉力を最大化するための手段として、50%という数字は妥当だと考えられる」と述べている。
また、HSBC(香港上海銀行)のアナリストであるStephen Pelayo氏は2015年9月16日、EE Timesとの電子メールのやり取りの中で、「Samsungは2015年、14nm FinFETプロセス技術開発において、TSMCに2四半期の差を付けることに成功した。Samsungの売上高は、2015年全体を通して大きく伸びるだろう。その一方でTSMCは、2015年第4四半期に入ってからようやく16nmプロセス技術開発を大きく進展させるとみられている。また、A10プロセッサがリリースされるころには、TSMCも10nmプロセスを実用化できる見込みだが、A10プロセッサは14/16nmプロセスで製造される予定だ」と述べている。
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