なお、他のアナリストからは、「TSMCがAppleの唯一のサプライヤとしての座を取り戻すという報道がなされているようだが、それは事実無根のうわさだ」とする声も上がっている。
Fubon ResearchのアナリストであるCarlos Peng氏は、2015年9月3日付のレポートの中で、「TSMCがA10の製造を100%担う予定だとうわさされているようだが、それについては異議を唱えたい」と述べている*)。
*)台湾のニュースサイト「Commercial Times(工商時報)」は2015年9月14日(現地時間)に、TSMCはA10を独占的に製造する可能性があると報じている(関連記事:「iPhone 7」用プロセッサ、全てTSMCが製造か)。
香港のSanford C. Bernsteinでアナリストを務めるMark Li氏は、2015年7月16日付のレポートの中で、「AppleのA10/A10X(仮称)プロセッサは、10nmプロセスで製造される予定だとする見方もあるが、われわれの予測では、Appleは引き続き14/16nmプロセスを採用するとみている。TSMCは10nmプロセス開発に力を入れているようだが、A10/A10Xプロセッサ向けには間に合わないだろう」と指摘する。
台湾・台北のCredit Suisse(クレディ・スイス)のアナリストであるRandy Abrams氏は、2015年7月17日付のレポートの中で、「A9/A9Xの製造において、TSMCが請け負う割合は30〜40%になるとみられている。この割合は今後、2016年のA10の製造開始に伴い、増えていくだろう。TSMCが2016年に、独自のFOWLP(Fan-out Wafer Level Package)技術である『InFO(Integrated Fan Out)』を採用するとしているためだ。この技術は、グラフィックスチップやFPGA、モバイルチップなどにも広く適用されていくと考えられる」と述べている。
一方でMaybank Kim Eng SecuritiesのLau氏は、「InFOがA10の受注につながるわけではない」と指摘する。「InFOはピン数が増えた一方で、価格を抑え小型化された。しかし、採用のメリットは、Samsungの最新パッケージング技術『ePoP(embedded-Pin-on-Pin)』の方が大きいと思われる。ePoPは、モバイル向けDRAMとNAND型フラッシュメモリ、コントローラを1パッケージに集積したもので、これらを別のパッケージで実装する場合に比べて実装面積を約40%削減できるとしている」(同氏)。
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