HPがこれまでに市場投入したウェアラブル機器は、Android/iOSスマートフォン対応のスマートウォッチ「MB Chronowing」だけだ。
Wall氏は、「消費者向けウェアラブル機器は、極度に鮮明なスクリーンを搭載したり、あらゆる用途に利用できるようにしたりなど、間違った方向に進んでしまっているのではないだろうか。ブレスレットや腕時計は、ファッション哲学に基づくべきものだ。このため、最初にファッション性に重点を置いてから、それとなく技術を補完していくべきだ」と述べる。
HPは、将来の事業部門としての可能性を秘める分野に注力していく上で、3つの社内スタートアップを設立している。そのうちの1つが、ウェアラブル事業部門だ。同事業部門は、数十人の従業員を雇用しているが、その他の2つの社内スタートアップについては、まだ秘密裏に活動を進めているところだという。
ただ、AR(拡張現実)/VR(仮想現実)を使用したウェアラブル機器などのように注目度が高い分野において、HPの取り組むべき役割が定まっているのかどうかは不明だ。しかしWall氏は、こうした分野を極めて重要視しているという。
同氏は、「当社は研究開発施設において、AR/VR関連のさまざまな取り組みを進めてきた。こうした技術は、産業分野において幅広く適用することができると考えている。技術産業分野ではあらゆるものが、まずは垂直市場において断片化された状態から始まり、やがて水平市場へと移行していく。こうした流れは、今後も変わらないだろう」と述べる。
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