今回のプレビューでは、セッション10〜12の内容を紹介する。セッション11では、ルネサス エレクトロニクスやSamsung ElectronicsがSRAM関連の技術を発表する。セッション12では、第3の2Dデバイス材料として注目を集める黒リン関連の発表に注目したい。
2015年12月に開催予定の国際学会「IEDM 2015」から、カンファレンス2日目である12月8日(火)の午前に予定されている技術講演を解説しよう。この時間帯では、セッション10からセッション15までの6本のセッションが並行に進む。今回は3つのセッション、すなわちセッション10(メモリ技術)とセッション11(回路とデバイスの相互作用)、セッション12(モデリングとシミュレーション)の講演をご紹介しよう。
セッション10(メモリ技術)のテーマは「抵抗変化メモリ(RRAM)」である。このセッションは、Micron Technologyによる招待講演で始まる(講演番号10.1)。Micronは、不揮発性メモリの将来を展望する。3D NANDフラッシュメモリや次世代メモリなどを取り上げ、さまざまな用途との相性を論じる。
台湾のNational Tsing Hua UniversityとTSMCの共同研究チームは、2個のFinFETで1個のメモリセルを構成する抵抗変化メモリ技術を開発し、その概要を報告する(講演番号10.5)。開発したメモリ技術は、CMOSロジックのプロセスと互換性を有する。2個のFinFETの中で1個は選択ゲート、残る1個が抵抗記憶素子となる。抵抗記憶用FinFETのハフニウム酸化物ゲート絶縁膜を抵抗記憶膜とする。16nmのFinFET CMOSプロセスによって1KビットのRRAMマクロを試作した。
米国のGLOBALFOUNDRIESは、抵抗変化メモリのPUF(Physical Unclonable Function:物理複製困難関数)をハードウェア・セキュリティに応用する可能性を評価した結果を発表する(講演番号10.7)。PUFの信頼性は、保持データの経時損失や読み出しの不安定性、熱的なばらつきによって劣化する。一方でPUFの固有値は、抵抗値の分布によって長期間にわたって維持される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.