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車載市場でのブランド作りはゼロから始めるIDT 社長兼最高経営責任者 Gregory Waters氏(1/3 ページ)

IDTは2015年12月、車載半導体を手掛けるドイツZMDI(Zentrum Mikroelektronik Dresden)を買収した。これにより、車載半導体市場に本格的に参入することになる。IDTの社長兼最高経営責任者を務めるGregory Waters氏は、同市場におけるブランド力をゼロから作り上げると意気込む。

» 2015年12月16日 14時00分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

 2014年1月、IDTの社長兼最高経営責任者にGregory Waters氏が就任して以来、同社は約2年間で、年間売り上げ規模を5億米ドルから8億米ドルへと急成長させてきた*)。2015年12月7日には、車載半導体を主に手掛けるドイツZMDI(Zentrum Mikroelektronik Dresden)の買収が完了している。これによりIDTは、車載半導体市場に本格的に参入することになる。Waters氏に、ZMDIの買収や、2年間における急成長の理由などについて話を聞いた。

*)関連記事:ZMDI買収のIDT、車載向け売上高「5年で5倍に」

車載市場に本腰

EE Times Japan(以下、EETJ) ZMDIを買収した背景について、あらためて聞かせてください。

IDTの社長兼最高経営責任者であるGregory Waters氏 IDTの社長兼最高経営責任者であるGregory Waters氏

Gregory Waters氏 ZMDIを買収した1つ目の大きな理由としては、われわれの技術戦略に合っていたことが挙げられる。IDTもZMDIもアナログ/ミックスドシグナル技術を手掛けているが、それぞれフォーカスしている分野が異なっていた。2つ目としては、ZMDIの買収は、当社が今後注力したい分野、つまり車載分野でのビジネスを加速できると考えたからだ。ZMDIは、車載半導体を30年以上手掛けていて、車載関連メーカーとも強固な関係を築いており、ブランド力を確立している。約5年前からは、車載半導体だけでなくセンサーインタフェースも手掛けるようになった。今回の買収は、IDTがこれまで手掛けていなかった車載半導体分野に参入する足掛かりになる。

EETJ 車載向けにおいて、ZMDIの製品ラインアップは、IDTの製品ラインアップをどう補完することになりますか。

Waters氏 大まかに言うと、パワートレイン、ボディー、シャシー向けはZMDI製品が、インフォテインメント向けはIDT製品がカバーすることになる。具体的には、サイドミラーを動かすアクチュエータや、パワートレイン向けの圧力センサーなどはZMDIが手掛けてきたものだ。IDTは、ワイヤレス給電用ICなど車載にも適用できる技術を持っているが、これまでは、車載向けというよりも単に“インフォテインメント向け”として展開してきた。そのため、IDTは自動車メーカーや自動車向け部品メーカーとの付き合いはなく、非常に厳しい車載規格に準拠する製品も持っていなかった。ZMDIの製品は、そこを補完してくれる。反対に、ZMDIは車載インフォテインメント向けの製品は持っていない。つまり車載向け製品では重複が一切なかった。

図1 IDTとZMDIの製品がカバーするエリア IDTとZMDIの製品がカバーするエリア。赤で示されている「パワートレイン」「ボディー」「シャシー」はZMDIが、青で示されている「インフォテインメント」はIDTが手掛けてきた分野である。(クリックで拡大) 出典:IDT
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