EETJ ワイヤレス給電ですが、市場の動向をどうみていますか。
Waters氏 ここ2年ほどで急成長している。2年前は市場規模が500万米ドルにも届かなかったが、2014年は5000万米ドルと前年比で10倍になった。指数関数的に伸びている。2015年に、Samsung ElectronicsやLG Electronicsが、ワイヤレス給電機能を搭載したスマートフォンを発表し、これによって成長が加速した。2015年は“ワイヤレス給電元年”と言えるのではないか。
ワイヤレス給電市場の動向は、Bluetoothのそれによく似ていると思う。Bluetoothも、当初はヘッドフォンなどオーディオ向けだけだった。それが今では、さまざまなアプリケーションに搭載されている。ワイヤレス給電も、今はスマートフォンに多く搭載されているが、スピーカやマウス、おもちゃ、医療機器、究極はクルマなど、いずれ用途が広がっていくだろう。そしてBluetoothは、Ericssonというたった1社のプロジェクトから始まり、ここまで広がった。われわれも同じように、ワイヤレス給電技術を浸透させていきたい。2年前までIDTは、モバイル機器向けワイヤレス給電向けのICを手掛けていなかった。現在は、同ICの世界シェアで首位に立つまでになっている。
そのための戦略として、スマートフォン以外のマスマーケットと呼ばれる分野にもワイヤレス給電を提案し、これまでとは違う顧客層にもアプローチする必要があると考えている。また、誰でも容易にワイヤレス給電を実現できるよう、開発キットもそろえている。
ワイヤレス給電技術について、IDTの日本法人である日本アイ・ディー・ティーの社長である迫間幸介氏は、「マスマーケットの一例として、スウェーデンの家具メーカーIKEA(イケア)などが挙げられる。IKEAは、ワイヤレス給電機能を搭載したテーブルやランプなどを欧米で販売している。こうしたところはICを使って製品を作っているわけではないので、当社のワイヤレス給電用ICを持って行ってもどうにもならない。それよりも、“家具にワイヤレス給電を搭載したら、こんなことができるようになる”というコンセプトを提示すべきだと考えている。当社は、2016年1月に東京ビッグサイトで開催される『第2回ウェアラブルEXPO』に出展するが、そこではリビングルームを作り、ワイヤレス給電技術をコンセプトとして見せる予定だ」と付け加えた。
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