でも、『失敗したなら失敗したで、やることもある』と、気を取りなおして、データの再検討に入りました。
敗因は、「完全体重」でした。
それは、
という、今回のシミュレーションのためだけにモデル化した体重のことです*)。
*)経済学の研究において、市場環境を簡素化するために使われる「完全市場」と同じ位置付けです。
負け惜しみではないのですが、実際のところ、体重の計測値というのは、結構な誤差が混入しているのです。
食事中の方には申し訳ありませんが、私の持っている「裏データ」には以下のようなものがあります。
私は、こういう要因をできるだけ排除するため、体重を計測する時は、「起床後、トイレに行った後、朝食を食べる前」というルールを自分に徹底していました。
しかし、出社直前や出勤中に「もよおして」て「トイレにかけこむ」こともありましたし、週末、睡眠時間が長くなるほど、体重が減りやすいという傾向もありました(原因不明)。
さらに、「食料そのものの重さ」の問題もあります。例えば、吉野家の牛丼(並盛り)は、重さが815gありますが、カロリーは666kcalなので、そのカロリーが100%体重になると仮定しても、95g(=666kcal/7kcal)にしかなりません。つまり、その牛丼の重さは、体重計に乗った時刻によって、0g(エネルギーとして完全に消費)から815gまでの、どの値でも計測され得るのです。
結局のところ、私がどんなに頑張っても、「真の体重」なるものを計測することはできないのです。
私は、期せずして、「ダイエット」からハイゼンベルグの不確定性原理に、到達してしまったのです(違うか)。
いずれにしても、上記の「ウンコ」「おしっこ」「寝汗」「吉野家の牛丼」までをも組み込んだ、「超複雑シミュレータ」を作ることは、私にはできそうにありません。
それと、もう1つ。
今回の、伝搬モデルを使った計算で、今回、毎日食べる食事の量(カロリー)の一部を、乱数で振ってみたのですが(イメージとしては、毎日、生卵とコロッケを1個、加えたり、減らしたりする程度のカロリー)、たったそれだけの事で、短期の体重の変動は、驚くほど簡単に、かつ劇的に変わってしまうこともご報告しておきます(バタフライ効果)。
つまり、短期間(数日〜1週間)の体重予測は、想像以上に難しい(あるいは不可能)ということです。
ここから導かれる1つの考察は、
ということになります。
では、今回の内容を、前後半併せてまとめたいと思います。
【1】「ダイエット」と「リバウンド」の間に関係はない
【2】ただし、「ダイエット」後の体重増加は目立たないため、「もう太らなくなった」という誤解(願望)が発生し、体重管理がおろそかになり、その結果として「リバウンド」のように見える状況が発生しやすくなっている可能性はある。
【3】ダイエット後に増えてしまった体重は、元の食事に戻しても、すぐには元の体重には戻らない(5年間もかかることもある)。せっかく痩せたのであれば、石にかじりついてでも、今の体重を死守すべきである
【4】日々の体重の変化には、(本当に)訳が分からないものが多い。それゆえ、毎日、体重計の上で、一喜一憂する必要はない。また、長期の体重変化をきちんと記録しない限り、ダイエットの効果を測ることはできない
【5】結果として、江端は、短期間(数日〜1週間)の体重予測のモデル化に失敗した。この夏から準備した計算ツールの導入や、ここ一月にも及ぶ検討と計算は全てパーとなった。その言い訳として「ウンコ」や「おしっこ」の重さを持ち出して、何とか体面を保とうとしている
以上です。
私は、今、計算用紙の海の中で疲れ果てています。
今は、そっとしておいてやってください。
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