IC Insightsによると、半導体業界における研究開発費は抑制傾向にあるという。開発費ランキングでは、Intelが群を抜いてトップに立っている。
米国の市場調査会社であるIC Insightsによると、2015年の半導体業界における研究開発費は564億米ドルに達し、過去最高を記録したという。しかし2015年後半に、企業統合が増加したり、世界経済や売上高が低迷したことなどに対する懸念から、半導体研究開発費の増加幅は小さくなっているようだ。
IC Insightsによれば、2015年における半導体業界の研究開発費の成長率は、前年比でわずか0.5ポイントしか増加しておらず、2009年の減少以来、増加幅としては最も小さかった。また、この0.5%という増加率は、過去10年間の半導体研究開発費の年平均成長率(CAGR)が4%であるのと比べても、非常に少ないといえる。
IC Insightsの2016年度版「The McClean Report」によると、2015年の半導体業界の研究開発費ランキングにおいて、半導体チップ最大手のIntelが全体の22%を占め、2位を大幅に引き離しての1位を獲得した。トップ5社には、Intelに続き、QualcommとSamsung Electronics、Broadcom、TSMCがランクインした。これらの上位5社に関しては、2014年のランキングと全く同じだとしている。
順位 | 社名 | 半導体売上高(百万米ドル) | R&D費(百万米ドル) | R&D費/売上高 |
---|---|---|---|---|
1 | Intel | 50,494 | 12,128 | 24.0% |
2 | Qualcomm | 16,032 | 3,702 | 23.1% |
3 | Samsung Electronics | 41,606 | 3,125 | 7.5% |
4 | Broadcom | 8,421 | 2,105 | 25.0% |
5 | TSMC | 26,439 | 2,068 | 7.8% |
6 | Micron Technology | 14,816 | 1,695 | 11.4% |
7 | 東芝 | 9,734 | 1,655 | 17.0% |
8 | MediaTek | 6,699 | 1,460 | 21.8% |
9 | SK Hynix | 16,917 | 1,421 | 8.4% |
10 | STMicroelectronics | 6,840 | 1,409 | 20.6% |
合計 | 197,998 | 30,768 | 15.5% | |
出典:IC Insights |
トップ10社の研究開発費の合計は、2014年比で約2ポイント増加していて、業界全体の増加率0.5%を上回っている。また、トップ10社の研究開発費は合計約308億米ドルで、その他全ての半導体メーカーの研究開発費の合計約256億米ドルを上回っている。
IC InsightsのシニアリサーチアナリストであるRob Lineback氏は、「2015年の半導体研究開発費の前年比0.5ポイント増という数字は、当社が集計を開始して以来、最も低かった。これまでは2013年の1%増が最も低い数値だったが、それを下回った。研究開発費が減少に転じた年は、2009年の他、2001年と2002年だけだ」と述べている。
Lineback氏は、「近年、研究開発費の成長率が伸び悩んでいる。1978〜2015年における半導体業界の研究開発費は、CAGRが12.6%だったが、2016〜2020年は6.7%と大きく低迷する見込みだ」と述べる。
また同氏は、「年間売上高全体に占める研究開発費の割合が、大きく変化してきている」と指摘する。売上高全体に対する研究開発費の割合は、1970年代にはわずか8%程度だったが、2000年ごろには15〜18%にまで増加したという。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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