Appleの「iPhone」と「iPad」に、ワイヤレス給電機能が搭載される可能性がある。一部の報道によると、Appleがワイヤレス給電機能をスマートフォンに搭載していないのは、ワイヤレス給電規格が断片化しているからだともいわれている。
スマートフォン市場では競争の激化に伴って、Appleのような大手メーカー対し、プレミアムな素材や機能を求める消費者の声が高まっている。
米Bloombergは、「Appleの『iPhone』と『iPad』は売り上げが低迷している。同社は、モバイル市場でのリードを維持するために、2017年中にこれら2つにワイヤレス給電機能を搭載する計画だ」と報じた。
Bloombergは、この計画に詳しい情報筋の話として、「Appleは現在、米国およびアジアのパートナー企業と共に、ワイヤレス給電技術に関する課題の解決に取り組んでいる」と伝えている。
ワイヤレス給電技術に関する課題とは、具体的には、スマートフォンと電源が離れている場合の出力の増幅や、フル充電にかかる時間を短縮するための技術的な課題などである。
ワイヤレス給電は目新しい技術ではない。Appleのスマートウォッチにはワイヤレス給電機能が搭載されているし、Samsung Electronicsやソニー、Googleは既に、ワイヤレス給電機能を搭載したスマートフォンを発売している。
Samsungは2015年3月に、「Galaxy 6」と「Galaxy S6 edge」にワイヤレス給電機能を搭載すると発表した。また、Nokiaが2012年末に発売した「Windows Phone 8」搭載スマートフォン「Lumia 920」も、ワイヤレス給電に対応している。
Appleがこれまで、ワイヤレス給電機能を搭載したスマートフォンの発売に踏み切らなかった背景には、ワイヤレス給電規格が細分化していることがあると推察される。現在、ワイヤレス給電の主な規格は3種類ある。Wireless Power Consortium(WPC)の「Qi」、A4WP(Alliance for Wireless Power)の「Rezence」、PMA(Power Matters Alliance)の「Powermat」だ*)。
*)なお、A4WPとPMAは2015年11月に合併し、新しい標準化団体「AirFuel Alliance」となっている(関連記事:A4WPとPMAが合併、「AirFuel Alliance」が誕生)
Appleは、同社の2016年度第1四半期(2015年10〜12月期)におけるiPhoneの販売台数は7480万台で、過去最高を記録したと発表した。ただし、同社のCEO(最高経営責任者)を務めるTim Cook氏は、「iPhoneの販売台数は、2016年度第2四半期に初めて減少に転じる見通しだ。iPadの販売台数は、2015年度第1四半期は2140万台だったが、2016年度第1四半期は1610万台にまで減少している」と述べている。
売り上げの低迷を受け、Appleは同社の大きな収入源であるiPhoneに、より一層注力する構えだ。iPadはタブレット市場と同様に勢いに陰りがみられるが、消費者の“マストアイテム”として支持されるよう尽力せねばならないだろう。
次世代の「iPhone 7(仮称)」は、2016年後半に発売されると予想される。これまでで最もスリムなボディーに搭載されるハイテク機能について、さまざまなうわさや議論が既に飛び交っている。
Appleは、スマートフォンの筐体の薄型化と軽量化に一貫して取り組んできた。今後のiPhoneでは、ほとんどのメーカーのスマートフォンに搭載されている3.5mmヘッドフォンジャックが搭載されなくなる可能性もある。ヘッドフォンは、代わりに、Lightningに接続されるようになるかもしれない。
さらにAppleは、2014年に30億米ドルで買収したBeats Electronicsと共同で、ワイヤレスイヤフォンを開発中とも報じられている。このイヤフォンはワイヤレス充電器とともに、プレミアムなアクセサリーとして提供されるとみられている。
また、iPhone 7には、有機ELディスプレイが搭載されるとの臆測もある。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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