Micron Technologyは「ISSCC 2016」で、3ビット/セルのフローティングゲート方式を適用した、768Gビットの3次元(3D)NAND型フラッシュメモリを発表した。読み出し速度は、800Mバイト/秒だという。3D NANDフラッシュの競争が激化することが予想される。
Micron Technologyは、NAND型フラッシュメモリの画期的な設計技術に関する論文を発表した。不揮発性メモリ市場でのリーダーシップを発揮するSamsung Electronicsが採用する3次元(3D)垂直構造のNANDフラッシュ技術の対抗馬となる技術だという。MicronとSamsungはそれぞれ、米国サンフランシスコで開催された「ISSCC 2016」(2016年1月31日〜2月4日)で発表した。
Micronが今回発表したのは、3ビット/セルのフローティングゲート方式を適用した3D構造のNANDフラッシュで、容量は768Gビットである。同メモリは、メモリアレイの下に制御回路を配置し、Samsungを上回る4.29Gビット/mm2のメモリ密度を実現した。現在、Samsungが出荷している256Gビットの3D NANDフラッシュの最大メモリ密度は2.6Gビット/mm2である。一方、多くのメモリベンダーが現在販売しているのはプレーナ(平面)型のNANDフラッシュで、メモリ密度は1Gビット/mm2である。
Micronのフェローで同論文の著者であるTomoharu Tanaka氏は、EE Timesに対して、「当社の経営陣は、同設計技術を製品に適用するかどうかについてはまだ決断を下していない」と語った。
フローティングゲート方式は長年、プレーナ型NANDフラッシュに適用されてきた。Samsungやその他のメモリベンダーは、構造がより簡易なチャージトラップ方式を採用している。
Tanaka氏は、エンジニアで満席になったISSCCの会場で、「メモリ業界は1990年代から現在まで、高性能よりも低価格を実現できる技術を選んできた。当社が開発した3D NANDフラッシュメモリは、高性能と低価格の両方を実現できる」と主張した。
MicronのNANDフラッシュは、97.6mm2のSamsungのNANDフラッシュに比べれば大きい。米国の半導体調査会社であるObjective Analysisでアナリストを務めるJim Handy氏は、「この大きさのNANDフラッシュは他にもたくさんあるため、注目すべきはサイズではない」と指摘する。
最も注目すべきポイントは、読み出し速度の速さだ。SamsungのNANDフラッシュの読み出し速度が178Mバイト/秒であるのに対し、Micronのメモリは800Mバイト/秒である。ただし、書き込み速度ではSamsungが53Mバイト/秒で、Micronの44Mバイト/秒に勝っている。
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