最も注目を集めるであろうデモの1つが、トヨタ自動車(トヨタ)が提唱する将来の運転支援のコンセプト「ぶつからないクルマ」を具現化したものだ。Preferred Networks(PFN)のディープラーニング(深層学習)技術や、NTTのエッジコンピューティング技術と無線技術が使われている。エッジコンピューティングとは、ユーザーにより近い位置にサーバを分散して配置し、通信距離を短くすることで、データ処理の速度を高める技術を指す。
デモでは、模型の自動車を6台使用して、室内のサーキットを走行させた。自動運転において、他の自動車や障害物との距離を測るためにはセンサー/レーダーなどの搭載が必要になるが、デモで使用した模型車には、こうしたセンサーは搭載していない。サーキットの上部に設置したカメラで6台の動きを捉え、模型車の位置からセンサーデータを計算して、次にどう走ればよいかの制御情報を、NTTの無線通信を介して模型車に与えている。この動作を繰り返すことで、各模型車が、衝突を回避する動きを学習していく。
無線通信には、920MHz帯を使ったサブギガヘルツ通信とBluetoothを、必要に応じて切り替えながら使っている。NTTは、このように複数の無線方式を切り替え、より適切な方を使うことで、途切れない高信頼性の無線通信を実現する技術を手掛けている。
なお今回のデモは、米国ラスベガスで開催された「2016 International CES」(2016年1月6〜9日)において、トヨタのブースで既に披露されている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.