三菱電機は、車両走行中に自動で衝突回避できる先進運転支援システム向けアルゴリズムを開発した。自動運転レベル3に適合する自動運転を可能にする技術だという。
三菱電機は2016年2月、自動運転レベル3を具現化する要素技術の1つとして、自動で衝突を回避できる先進運転支援システム向けのアルゴリズムを開発したと発表した。周囲の状況を把握しておくことで、走行レーンを変更する追い越しや緊急回避走行について、車両が自ら判断し、自動で安全に行うことができるという。
検証用の試作車には、カメラやミリ波レーダーが搭載され、走行中は前後方や側方を走る他車はもとより、ガードレール、障害物など自車周囲にある物体を常に検出しているという。研究成果を披露した会場では、自車前方を走行する他車の荷台から、突然に積載物が落下した場合でも、自動操舵で危険を緊急回避する模様をビデオ映像で紹介した。
物体検出のテスト走行では、自車と物体との相対速度が時速60km以下で、相対距離は30m以上を想定した。この環境で、先行他車の荷台から荷物が突然落下すると、それを速やかに障害物と認識し、危険と思われる領域を「リスクマップ」として3次元表示する。認識した画像から、落下後にその障害物がどのように移動するかも予測しつつ、自車との衝突可能性を予測するという。これらの演算処理には同社が開発した人工知能技術を採用している。
予測結果から、衝突の恐れはないとシステムが判断した場合、走行中の車線内をそのまま走行するよう車両を制御する。衝突の恐れがある場合には、ブレーキを踏むか、それでも回避できないと判断した場合は「曲がる」ことを瞬時に判断し、ハンドル操舵で衝突回避に向けて車両を制御するという。「危険を察知してから衝突回避の動作を開始するまでに要する時間はわずか0.3秒」(同社)と話す。
デモ映像では、危険領域が前方の落下物のみであったが、実際には左側にガードレールが設置され、側方から他車が追い越してくる、などのケースも想定される。こうした複数の危険領域も常に把握しており、これらを総合的に判断して、車両を安全に自動制御するという。
通常走行時に、前方走行車を追い越す場合も、自車周囲の物体検出、検出した物体の動き予測などを行っている。その上で、自車後方から接近する車両などを確認し、接近していればその車を見送る。そして安全が確保された後に、車線を変更し追い越しを始めるよう車両を制御することができるという。
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