もう1つ、Synergyがより使いやすくなるであろう強力なツールが加わる。IAR Systemsが提供するARMコア用の統合開発環境「IAR Embedded Workbench for ARM(EWARM)」のSynergy専用版である「EWARM-RS」だ。“RS”は、Renesas Synergyの意味である。
Synergyでは、開発環境として「e2 studio」を提供しているが、ユーザー数は、まだ少ないという。一方、ARMマイコンの開発環境として高いシェアを持っているのがEWARMだ。
e2 studioは、コンパイラではGNUを、デバッガではSEGGERの「J-Link」を基本的にサポートしているが、IAR Systemsのコンパイラを使用することもできる。ただし、それは同社のライセンスを保有しているユーザーのみに限られている。
今回、EWARM-RSがSynergyの開発環境として提供されることで、ユーザーは、追加のライセンス料を支払うことなく、IAR Systemsのコンパイラ/デバッガを使えることになる。ルネサスによれば、SynergyではせっかくARMマイコンを使うのだから、慣れ親しんでいるツールであるEWARMを使いたいというニーズがあったという。
EWARM-RSは、2015年6月に既にβバージョンがリリースされていて、「Gallery」からダウンロードできるようになっている。2016年6月に、公式なバージョンが発表される予定である。
なお、EWARM-RSをSynergyに統合するに当たり、ルネサスはIAR Systemsにローヤリティを支払うという。IAR SystemsのCEO(最高経営責任者)を務めるStefan Skarin氏は記者説明会で、Synergyに統合する利点として「新しいユーザー層にEWARMを使ってもらえること」を挙げた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.