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LoRa方式採用、サブギガ無線で通信距離最大8km中継装置を介さず、広範なエリアを1台でカバー

大井電気は、「スマートエネルギーWeek2016」において、最大8kmの通信距離を実現できる920MHz帯無線通信コンセントレーターを参考展示した。「LoRa」方式を用いることで長距離通信を可能とした。

» 2016年03月04日 10時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

 大井電気は、「スマートエネルギーWeek2016」(2016年3月2〜4日、東京ビッグサイト)で、最大8kmの通信距離を実現する920MHz帯の長距離無線通信コンセントレーターを参考展示した。IoT(モノのインターネット)に向けた無線通信技術の1つである「LoRa」方式を用いて実現した。

 IoTやM2M(Machine to Machine)を実現するために、さまざまな無線通信技術が登場している。同社の長距離無線通信コンセントレーターで採用した技術もその1つである。免許が不要な920MHz帯の場合、出力が20dBm以下に制限されていることもあり、一般的なFSK変調方式では、通信距離が最大でも1kmであった。

 これに対して同社は、スペクトラム拡散方式の原理を用いた「LoRa」と呼ばれる変調方式を採用した。これにより、通信距離を最大8kmまで拡大することができるという。ただし、通信速度は0.2K〜10Kビット/秒となり、FSK変調方式に比べると最大速度はほぼ1桁遅くなる。

最大8kmの通信距離を実現する920MHz帯の長距離無線通信コンセントレーターを参考展示

 開発中の長距離無線通信コンセントレーターは、通信速度が速い(50K〜100Kビット/秒)GFSK変調方式と、長距離通信を可能とするスペクトラム拡散方式の両方に対応しており、利用目的に応じて使い分けることができる。同時受信チャネル数は最大8チャネルである(帯域幅200kHz時)。本体にはイーサネット用のインタフェースなども備えており、光通信回線などを利用してデータ伝送することができる。製品化は2016年秋ごろを予定している。

 「長距離通信を可能としたことで、広範囲に設置された無線ユニットと、中継装置を介さずに直接通信することが可能となる。山間部の気象観測、橋梁などのインフラ監視、太陽光パネル装置の監視、無線検針システムなどの用途を想定している」(説明員)と話す。

 なお、同様の技術を用い1対1で通信を行うユニット「OiNET-923」については、2015年に商品化した。

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