タブレット端末市場は縮小傾向が続いているものの、変化もある。取り外し可能なキーボードを備えた、いわゆる2-in-1タイプの機種への関心が高まっているのだ。それによって、Windowsを搭載した端末の存在感が高まっている。
市場調査会社のIDC(International Data Corporation)によると、2016年のタブレット端末の出荷台数は2年連続で減少する見込みだという。その理由として、タブレット端末市場が飽和状態にあることや、一度は白熱した市場の再成長を促すようなキラーアプリケーションが欠けていることが挙げられる。
IDCのレポート「Worldwide Quarterly Tablet Tracker」によると、2015年におけるタブレット端末の世界出荷台数は前年から約6%減少し1億9500万台となった。2015年のタブレット端末売上高も10%近く減少している。
IDCによると、タブレット端末の売上高は減少する見込みである。一方で、Microsoftの「Surface Pro」ような取り外せるキーボードを備えたモデルへの関心が高まることで、2017年のタブレット端末市場の成長率は1桁台に戻るとみられるという。IDCは、取り外し可能なキーボードを備えたタブレット端末(2-in-1 タブレット)の出荷台数が、2015年の1660万台から2020年には6380万台に増加すると予測している。
OS | 2016年 | 2020年 |
---|---|---|
Android | 18.2% | 23.1% |
iOS | 28.5% | 22.4% |
Windows | 53.3% | 54.5% |
出典:IDC |
IDCのタブレット端末部門のリサーチディレクタを務めるJean Philippe Bouchard氏は、レポートの中で、「2-in-1 タブレットの需要の高まりだけでなく、同分野での競争も激化している」と述べている。
Alcatel Onetouch(TCL Communicationが保有するブランド名)やHuaweiといったタブレット端末メーカーは、2-in-1 タブレットの需要の高まりに対応すべく、そうした機種を製品ラインアップに追加している。2015年や2016年の「Mobile World Congress(MWC)」でも、さまざまなメーカーが新製品を披露した。
Bouchard氏は「業界の中には、デスクトップ型やノートブック型など従来型のPCが今後数年のうちに2-in-1タブレット端末に置き換えられる可能性があるとみている専門家もいる。2016年には数多くの新製品が発売される見込みである」と述べた。
IDCによると、2-in-1タブレット端末の台頭は、他の変化ももたらす可能性があるという。9型以上のディスプレイを備えた機種の市場が伸びる一報で、それよりも小型のディスプレイを備えた機種の売り上げは減少する見込みだ。Microsoftの2-in-1タブレット端末は、他のOS(特にAndroid)を採用した機種から、シェアを奪い始めているという。
IDCのWorldwide Quarterly Mobile Device Trackersでプログラムディレクタを務めるRyan Reith氏は「フォームファクターのトレンドが変わってきたことで、Windowsベースの機種が、タブレット端末市場に大きな影響を与えるかもしれない」と述べた。
Reith氏によると、「Windows 10」はPCとタブレット端末の両方で普及が進んでいるが、それは主に、大型ディスプレイを搭載した機種によってけん引されていると分析した。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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