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記憶が向上「触る」だけ、暗記はかどるタブレット先端技術(1/4 ページ)

タブレットの画面に薄く表示された文章をなぞるだけで、記憶が定着する。NTTコミュニケーション科学基礎研究所の研究結果だ。より詳しく効果を調べると、学習成績が悪い生徒の底上げに役立つことが分かった。

» 2015年06月18日 11時30分 公開
[畑陽一郎EE Times Japan]

 本を読み始めたばかりの子どもは、文字を指でなぞりながら読むことがある。文字をなぞることに何かメリットがあるのだろうか。NTTコミュニケーション科学基礎研究所によれば、答えはイエスだ。大人であっても指なぞりによって記憶が増強されるという。

 あなたの知らない「音」の世界、体に起こる不思議な反応では、耳と体に関する同研究所の最新の研究成果を報告した。今回は、より応用に近い指なぞりの研究を紹介しよう。

第2の脳=指

 同研究所は指なぞりによる記憶増強効果などを「なぞり動作によって学習効率をアップする“Yu bi Yomu”方式」として発表した。一般的なタブレット上で再現できる手法だ。

 Yu bi Yomu方式では、まず、学習したい文章をタブレット(スマートフォン)上に薄い文字で表示しておく。その後、ユーザーが大事だと思うところを指でなぞりながら読む(図1)。なぞった部分はソフトウェア処理により、濃く表示される。これだけだ。

図1 タブレット上の薄いテキストをなぞると濃く表示される

 「なぞった部分の文字が浮き出るような感覚だ。これだけで約10%、記憶が向上することを新たに確認した」(同研究所人間情報研究部感覚表現研究グループで主任研究員を務める丸谷和史氏)。

 研究では60分の交通安全講習にタブレットを利用し、自由にテキストをなぞるよう指示した。なぞる位置やタイミング、量は被験者が決める。授業の直後にテスト、その1カ月後に再びテストを実施。どちらの成績も向上した(図2)。

図2 記憶が約10%向上した 出典:NTTコミュニケーション科学基礎研究所
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