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ARM、TSMCと7nm FinFET開発で協業サーバ市場での勢力拡大を狙い

ARMとTSMCが、データセンサーやネットワークインフラ向けに、7nm FinFET開発で協業する。サーバ市場での勢力拡大に積極的なARMは、7nmプロセスの採用によるチップの高性能化を非常に重要視していると専門家は話す。

» 2016年03月22日 09時30分 公開
[Rick MerrittEE Times]
出典:TSMC

 TSMCとARMは、最先端の半導体プロセス技術に関する協業体制を次なる段階に進展させていくことを発表した。両社は、7nm FinFETプロセス技術に関する取り組みをけん引する要素として、データセンターとネットワークチップを挙げている。

 これまで、新しいプロセス技術というのは、Appleの「Aシリーズ」やQualcommの「Snapdragon」、Samsung Electronicsの「Exynos」などのモバイルアプリケーションプロセッサに適用されることが多かった。64ビットARMコアを搭載したモバイルチップのテープアウトが、16nmや10nmプロセス技術の初期段階のマイルストーンとされてきた。

 しかし現在、携帯電話機市場が伸び悩みを見せる中で、風向きが変わってきたようだ。TSMCとARMは、2016年3月15日に発表した声明の中で、「われわれは、7nm FinFETプロセス技術の開発において、複数年にわたる提携契約を締結した。今回新たな契約を締結したことにより、長年にわたり築いてきたパートナーシップをさらに拡大し、モバイル分野にとどまらず次世代ネットワークおよびデータセンターの分野でも、最先端のプロセス技術開発を展開させていきたい」と述べている。

 ARMのプロダクトグループ担当プレジデントを務めるPete Hutton氏は、プレスリリースの中で、「特にARMは、TSMCの7nm FinFET向けに最適化した、データセンター/ネットワークインフラ専用の次世代ARM技術の開発準備を進めている」と述べている。

サーバ市場に積極的なARM

 ARMの最先端コアはこれまで、ハイエンド端末からサーバ向けSoCに至る幅広い分野において採用されてきた。同社は2015年末に、サーバ/ネットワーク向けコアの開発に取り組んでいることをほのめかし、高性能コンピューティング専用のライブラリを発表している。

 ARMとTSMCは、7nmプロセス技術開発における協業体制を活用し、これまでのテストチップ開発の取り組みに勝る、プロセス技術開発を実現したい考えだ。広報担当者は、「われわれの顧客企業が、データセンターやネットワークインフラ向けに最適化されたSoCの設計とテープアウトを実現できるようにするには、今後直面するであろう設計上の課題に対応していく必要がある。2社で協業することにより、データセンターの実際の負荷量を実証することが可能な具体例として、設計ソリューションを開発することが可能だ」と述べている。

 米国の市場調査会社であるInternational Business Strategies(IBS)のCEO(最高経営責任者)を務めるHandel Jones氏は、「TSMCは2015年の時点で、『2017年には7nmプロセスチップの製造を開始できる見込みだ』としていた。そのころには、サーバ向けSoCの実現を目指すARMのイニシアチブにおいて、本格的な成果が出始めているだろう」と述べている。

 Jones氏は、「ARMは、データセンター市場への参入にかなり積極的だ。こうした活動を進めていく上で、7nmプロセスは非常に重要な技術となるだろう。2019〜2020年には、量産が可能になる見込みだ」と述べる。

 さらに同氏は、「サーバ/データセンター市場は、今後数年間で大きく成長する可能性を秘めている。Qualcommをはじめとするさまざまなメーカーが、ARMベースのサーバ向けSoCに関する計画を発表していることからも、顧客企業各社が、価格がやや高いIntel製品の代替を求めていることが分かる」と付け加えた。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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