NAND型フラッシュメーカーやDRAMメーカーの数が減っていく中、両方を手掛けるMicron Technologyは、自社が「独自のポジションを築いている」と自負する。より差異化を図るべく、メモリメーカーというよりも、ストレージシステムのビジネスに力を入れていきたい考えだ。
Micron Technologyは「単なるメモリメーカーではなく、幅広い顧客セグメントに対応した統合カスタムソリューション企業へと飛躍する」という方針を掲げ、過去数年間この方針を繰り返しアピールしてきた。
同社は米国テキサス州オースチンで2016年4月12日(現地時間)に開催した会議で、この方針を継続していくことを表明し、ソフトウェア開発と共同研究の拠点としてオースチンに開設したMicron Storage Solutions Center(MSSC)を紹介した。さらに、レファレンスアーキテクチャデザインやエンタープライズ向けSSDも発表した。
Micronは、オープンソースソフトウェアで制御するデータセンター専用のスケールアウトソリューション「Micron Accelerated Solution」を数点発表した。最初に紹介された3点は、VMware、Supermicro、Nexentaといったエンタープライズソフトウェア企業とハードウェア企業と共同で設計開発したという。さらに、既存のSATA (Serial ATA)とSAS(Serial Attached SCSI)ドライブに「NVMe 9100」「7100 PCIe SSD」を追加し、データセンター向けSSDポートフォリオの拡充も図った。7100 PCIe SSDは、プロセッサにできるだけ近い位置に実装できるという。
Micronのストレージソリューション部門でバイスプレジデントを務めるSteve Moyer氏は、EE Timesに対して、「MSSCでは、3つの目的に注力する。顧客の作業負荷の最適化、パートナーとの連携、ストレージソフトウェアの開発だ。MSSCの敷地面積は約1021m2(1万1000平方フィート)。65人の従業員で運営を開始する。2016年の夏の終わりにはスタッフを増員する計画だ」と語った。Moyer氏によると、ストレージソフトウェアは、従来の回転ディスクから不揮発性メモリを活用したタイプのものに移行しているという。
Micronの役員は、先の会議の中で「当面はメモリ技術中心にはなるが、今後はストレージ企業として事業展開していきたい」と述べている。同社のプレジデント兼CEO(最高経営責任者)を務めるMark Durcan氏は、「ムーアの法則の減速に伴って、半導体業界も変化しつつある。当社はデータセンター分野を中心に、他社と差別化したソリューションにより注力していく計画だ」と述べた。
Durcan氏は、「サーバの75%はNAND型フラッシュメモリかDRAMを使っている。当社は2004年以降、NANDフラッシュとエンタープライズ分野に注力している。具体的には、データセンター向けに最適化したエンタープライズSSDの発表、次世代DRAMとして期待される3次元積層メモリ『Hybrid Memory Cube(HMC)』への移行、並列処理アクセラレータ『Automata Processor(AP)』や『3D XPoint』メモリの開発などを行ってきた」と述べた。Micronは、NANDフラッシュメーカー4社のうちの1社、DRAMメーカー3社のうちの1社であることからも分かるように、独自のポジションを築いたと自負している」と述べている。
Intelと共同で発表した「3D XPoint」はどうなっているのだろうか。両社は2015年8月に大々的に発表したが、詳細はあまり明らかにされていない。Coughlin Associatesのプレジデントを務めるTom Coughlin氏は、EE Timesによるメールインタビューの中で、3D XPointについての具体的な発表は恐らく2016年の夏か秋にあるのではないかと述べた。「サーバ向けシステムアーキテクチャにおいてDRAMの置き換えを図れるような、興味深い用途が紹介されるのではないだろうか」と同氏は推測している。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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