中国のメモリ事業に対する野心と、それを目当てに集まるであろうばく大な資金とを狙っているのが、香港のSino King Technology(サイノキングテクノロジー)だ。同社を率いる坂本幸雄氏は、かつてエルピーダメモリで社長を務めていた人物である。
日本経済新聞(日経新聞)が2016年2月22日に報じたところによると、Sino King Technologyは、中国の合肥(Hefei)においてIoT向け低消費電力DRAMの開発工場を建設する、約8000億円(70億米ドル)規模のプロジェクトに参加する予定だという。
その後、正式発表が行われたが、まだ中国との最終的な契約締結には至っていない。
日本の業界筋の中には、「坂本氏は、中国からの公式な返答を待つことに疲れ、中国側にプレッシャーをかけるためにメディアに情報をリークしたのではないか」と見る者もいる。
日経新聞は、Sino King Technologyが2017年後半にもDRAMの量産を開始する予定だと報じている。
湯之上氏は、日経新聞がSino King Technologyについて「日本と台湾、中国を中心に設計者や生産技術者を採用し、1000人規模の技術者集団を形成する」と報じたことに疑念を抱いている。Sino King Technologyは、10人の日本人/台湾人エンジニアによって設立された。もちろん、坂本氏は、日本人エンジニアを引き付けることができるだろう。だが湯之上氏は、「1000人のエンジニアを集めることは、現実的には不可能ではないか」という見方を示している。
こうしたエンジニアの中には、ルネサス エレクトロニクスから退職した人が多数いるのではないだろうか。湯之上氏は「そうでもない」と述べる。「多くの退職者は、3D NANDフラッシュを開発している東芝に移った」(同氏)。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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