大阪大学大学院の井元信之教授らによる研究グループは、周波数領域の光スプリッターを実現し、異なる光周波数(異波長)の二光子干渉に初めて成功した。
大阪大学大学院基礎工学研究科の井元信之教授と東京大学大学院工学系研究科の小芦雅斗教授および情報通信研究機構(NICT)未来ICT研究所の三木茂人主任研究員らによる研究グループは2016年4月、周波数領域の光スプリッターを実現するとともに、これを異なる光周波数(異波長)の二光子に適用したHOM(Hong-Ou-Mandel)干渉を、世界で初めて観測したと発表した。
HOM干渉は量子コンピューターの基本要素となるもので、ベル測定や量子テレポーテーションなどに幅広く利用されている。研究グループは、周波数のスプリッター機能を非線形光学効果である和・差周波発生を用いて実現した。2入力(経路1および2)、2出力(経路3および4)の経路は同一だが、周波数の異なる光子を1つずつ同時に入射した場合に、出力がどちらかの周波数に同一化された2つの光子となる「周波数領域でのHOM干渉計」を作製し、この観測に成功した。
実験では、PPLN導波路による和・差周波発生および、高い性能を持つ超伝導光子検出器(SSPD)を用いて、量子力学的な領域の干渉性を示すことができたという。
従来の光量子演算は空間光回路を利用したものである。今回の成果は、空間を光周波数に置き換えた、新しい光周波数多重化量子演算を可能とする技術である。光周波数多重化量子演算を用いると、従来に比べて計算量や通信容量などの情報処理能力を飛躍的に向上できると研究グループはみている。
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