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車載向けIGBT、最大128個を同時にテスト可能熱流体解析技術と熱抵抗測定で熱問題を解決(2/2 ページ)

» 2016年05月25日 09時00分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]
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数万回のパワーサイクル試験を自動で

 MicReD Power Tester 600Aは、被測定デバイスを容易にセットアップして、数万回にも及ぶパワーサイクル試験を自動で行う。搭載したT3Sterの構造関数機能により、各IGBTが試験中に劣化していく状態を診断データとして確認できる。具体的には、電流、電圧、ジャンクション温度など、診断に必要となる値を検知/記録し、構造関数機能によって、パッケージ構造の劣化や故障を特定することが可能である。

 パワーサイクル試験で得られた実側値は、電子機器内外の気流や熱伝達を予測する3次元CFD(数値流体力学)ツール「FloTHERM」にフィードバックし、パッケージの3D CFDモデルを自動で校正するためのデータとして用いることができる。曖昧だったパラメーターを自動校正することで、従来は20%あった3次元CFDツールのシミュレーションエラーを、最大0.5%まで削減することができるという。

パワーサイクル試験で得られた実側値を、3次元CFDツールにフィードバック。パッケージの3D CFDモデルを自動校正することで、従来は20%あった3次元CFDツールのシミュレーションエラーを、最大0.5%まで削減することができる (クリックで拡大) 出典:メンター・グラフィックス

最小構成で16万5000米ドル

 Mentor Graphicsのメカニカルアナリシス部門でマーケティングディレクターを務めるKeith Hanna氏は、「IGBT市場は、EV/HEV向けを中心に、2020年まで高い市場成長率が見込まれている。一方、米国の自動車市場では、EV/HEVの熱信頼性の問題を含め、2015年には車両リコール数が最大となった」と話し、熱管理の重要性を指摘した。

 同じくメカニカルアナリシス部門でMicReDプロダクトマネジャーを務めるAndras Vass-Varnai氏は、「故障の原因となるのは、熱膨張でストレスが加わり、IGBTのワイヤボンドが劣化したり切断したりすることだ。サブストレートの亀裂なども発生することがある。パワーサイクル試験で得られた実側値の精度が高ければ、シミュレーション結果の精度も高まり、より正確な予測(熱信頼性評価)が可能となる」と話す。

Mentor Graphicsのメカニカルアナリシス部門でマーケティングディレクターを務めるKeith Hanna氏(左)と、MicReDプロダクトマネジャーを務めるAndras Vass-Varnai氏(右)

 MicReD Power Tester 600Aは、既に出荷が可能となっている。米国における参考価格は、最小構成で16万5000米ドルである。

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