矢野経済研究所は、2015年のパワー半導体市場規模が前年比7.0%減の148億2000万米ドルになった模様だと発表した。SiCやGaNパワー半導体の本格的な普及は2020年以降になるという。
市場調査会社の矢野経済研究所は2016年2月、パワー半導体の世界市場に関する調査結果を発表した。調査結果によると、2015年のパワー半導体世界市場規模(推定値)は、前年比7.0%減の148億2000万米ドルになったという。同社は、2015年がマイナス成長になった要因として、(1)中国と欧州市場の景気減速による需要低迷、(2)民生機器用電源の成長鈍化、(3)参入メーカー増によるコスト競争の3つを挙げる。
2020年のパワー半導体世界市場規模は231億米ドルと推定しており、2014〜2020年までの年平均成長率は6.5%、2020年の市場規模は2014年の1.5倍に拡大すると予測している。同社によると、産業/自動車向け需要が市場をけん引。産業向けは、サーボモーター、UPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源装置)向けが好調という。
自動車向けは、車両の電動化に伴いMOSFET、IGBTの出荷数量が拡大。新規需要では、車載向けLEDライトの普及、ISO26262に伴うECUの二重化、ADAS(Advanced Driving Assistant System:先進運転支援システム)用センサーを挙げた。
シリコンカーバイト(炭化ケイ素、SiC)や窒化ガリウム(ガリウムナイトライド、GaN)といった次世代パワー半導体市場は、2020年に14億5000万米ドル、2025年に31億3000万米ドルに達すると予測した。2014〜2020年までの年平均成長率は47.6%、2020〜2025年までの年平均成長率は16.6%としている。
SiCはダイオード中心に採用が進んでいるが、コスト面での懸念からSiCトランジスタの搭載は一部用途に限定される。6インチSiCウエハーで量産が本格化する2020年からSiCトランジスタ、フルSiCモジュールの採用が増加するという。
GaNトランジスタは、2016年から民生機器用電源を中心に市場が立ち上がる見込み。2020年にはGaNトランジスタを用いたオンボードチャージャーや、DC-DCコンバーターが自動車向けに採用が進むとする。そのため、同社は「次世代パワー半導体の本格的な普及は、2020年以降になる可能性が高い」とリリース上で述べている。
今回の調査は、2015年9月から2016年1月まで、パワー半導体メーカーやウエハーメーカー、システムメーカーなどへのヒアリング調査などによってまとめられている。パワー半導体は、パワーMOSFETやIPD、ダイオード、IGBT、パワーモジュール、バイポーラトランジスタ、SiC/GaNデバイスなどを対象にしている。
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