ルネサス エレクトロニクスは、第8世代IGBT「G8Hシリーズ」のサンプル出荷を開始した。プロセス構造に独自のトレンチゲート構造を採用し、性能指数を最大30%改善。太陽光発電のパワーコンディショナーやUPS(無停電電源)システムのインバーターに適しているという。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2016年3月10日、太陽光発電のパワーコンディショナーやUPS(Uninterruptible Power Supply:無停電電源)システムのインバーター向けに、第8世代IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーランジスタ)「G8Hシリーズ」のサンプル出荷を開始した。
G8Hシリーズは、プロセス構造に独自に開発したトレンチゲート構造を採用。これにより、IGBT性能指標となるスイッチング損失と導通損失を低減し、性能指数を最大30%改善した。電力変換回路の多くを占めるIGBTの電力損失を大幅に削減できるという。
また、高速スイッチング性能に伴うノイズの発生にも対応し、外付けのゲート抵抗を削減可能とした。保証温度は175℃で、高放熱特性のTO-247パッケージを採用している。
650V/40A、50A、75Aの3製品、1250V/25A、40A、75Aの3製品をラインアップ。従来、75A電流帯は熱やノイズ対策などの理由から、モジュールとして大きなパッケージが使用されていたが、「第8世代の低損失な小チップ化技術により、1250Vのダイオード内蔵のIGBTでは業界初の単品パッケージ化を実現した」(ルネサス)と語る。
サンプル価格は、650V/50A品で330円(税別)。量産は2016年9月の開始を予定し、2017年3月には月産60万個を計画しているという。今後は、家電機器/産業用途向け製品や、同社のマイコンなどと組み合わせたソリューションを展開するとした。
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