日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)は、スマートデバイス向けテストシステムに関する戦略説明会を都内で開催した。同社が目指すのは、モジュール式のハードウェアと、オープンでフレキシブルなソフトウェアを活用した「プラットフォームベース」のアプローチである。
日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)は2016年6月13日、スマートデバイス向けテストシステムに関する戦略説明会を都内で開催した。
あらゆるモノがインターネットにつながるIoT(モノのインターネット)機器が増加するにつれ、テストシステムに求められる要件も大きく変化している。
日本NIでAPACマーケティングマネジャーを務める久保法晴氏は、「スマートデバイスは単なるコンシューマー向けデバイスではない。産業用途に近いニーズがある」と語る。例えば、多くの技術を1つのデバイスに搭載する「コンバージェンス」や「低価格化」、継続的にソフトウェアで機能をアップデートする「機能更新」、ビッグデータを活用したシミュレーションを行うための「データ収集」などがある。
久保氏は「スマートデバイスごとに異なる固有のテスト要件がある」と語るが、計測器ベンダーが持つエンジニアリソースには限りがある。「求められる要件全てに応えて、完成されたテストシステムをタイムリーに開発するのは不可能になりつつある」と語る。
現在は、顧客のエンジニアが箱型測定器を組み合わせて、テストシステムを作らなければ開発に間に合わないのが現状だ。箱型測定器は大規模なシステムになることや、大容量のデータの処理が不得意のため、エンジニアの不満を多く聞くという。久保氏は「つまり、テストシステムを柔軟にカスタマイズできることが重要になる」と語る。
NIが展開するのは、モジュール式のハードウェアと、オープンでフレキシブルなソフトウェアを活用した“プラットフォームベース”のアプローチである。「テストシステムを実現するためのツールやプラットフォームを民主化したい」(久保氏)とする。
スマートデバイス向けテストシステムとしては、オープンな計測プラットフォーム「PXI」をベースにした計測システムを提供してきた。モジュール式のハードウェアを組み合わせることで、アプリケーションごとのニーズに対応することが可能だ。久保氏によると、過去5年間におけるPXIプラットフォームの成長率は15%を超えており、市場調査会社Frost&Sullivanの予想では、その成長は今後も継続するといわれている。
久保氏は、PXIの鍵は“ソフトウェア”にあるとする。NIが提供するシステム開発ソフトウェア「LabVIEW」は1986年にリリース後、FPGAのプログラミングサポートやマルチコア最適化機能、データアナリティクス機能などを実装してきた。「LabVIEWは、自動テストシステムにおいて、なくてはならない存在になりつつある」(久保氏)と語る。
また、他のメーカーにはない特長として、エコシステムによる幅広いサポートを挙げる。NIはアライアンスパートナーやシステムインテグレーターと連携し、PXIプラットフォームを活用したソリューションの提供を進めてきた。350個以上のソフトウェアツールキットの利用や、700人以上のエンジニアによる技術支援なども利用できるという。これにより、ユーザーは1からテストシステムを開発する必要がないとした。
久保氏は「今までのようなやり方では、市場の変化に対応することができない。当社はプラットフォームとして、モジュール式のハードウェアと、フレキシブルなソフトウェアを提供することが、IoTの大きなトレンドの中で必須と考えている」と語った。
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