このため今回は、機械の稼働率や風量など空調機設備の状態を新たに組み込んだデータベースを作成した。予測対象に対する有用な情報として、従来から用いられてきた計測データのみならず、空調機設備状態からも1つ以上、自動で選択するという条件を設定した。選択した変数を用いて予測モデルを作成することによって、予測精度を向上することができた。頻繁に行われる設備のレイアウト変更などにも柔軟に対応できるという。
開発した技術で、100ラック規模の実データを用いたシミュレーションを行った。その結果、状態変化の頻度が高くても、サーバ給気の予測温度は最大±2.1℃、平均±0.17℃と高い精度で予測可能なことを確認した。このデータをもとに、1000ラック規模のデータセンター(年間のサーバ電力量7000万kWh、空調電力量2200万kWh)で試算したところ、約20%に相当する450万kWhの省電力が可能になることが分かった。
富士通研究所は、開発した技術を富士通が運営するデータセンターで2016年度中にトライアルする計画だ。2017年度には実稼働を始め、富士通の運用管理向けインフラストラクチャーソフトウェア「FUJITSU Software ServerView Infrastructure Manager」への実装を予定している。
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