今回は、SSDをクルマに搭載する時の課題を取り上げたい。クルマ用SSDにおいて、信頼性を向上したり、温度変化によるしきい値電圧の変動に対応したりするには、どうすればよいのだろうか。
「国際メモリワークショップ(IMW:International Memory Workshop)」のショートコースで、Micron TechnologyのFellowであるWill Akin氏が、「Memory System Overview」と題してメモリシステムの現状と将来を用途別に解説した内容を紹介するシリーズの第3回である。
前回は、クルマのエレクトロニクス(自動車エレクトロニクス)を支える半導体メモリの将来像を展望した。今回は、外部記憶ストレージ、具体的にはSSD(Solid State Drive)をクルマに搭載するときの課題を解説する。
前回、車載インフォテインメント(IVI:In-Vehicle Infotainment)システムは将来、480Gバイトクラスの容量を備えたSSDを載せるようになるとの予測を示した。
クルマ用のSSDは、PCやサーバ、データセンターなどとは異なる、独自の要求仕様を満足しなければならない。大きな違いは耐用年数で、IT分野で使われるSSDが5年を目安としているのに対し、クルマ分野では15年と3倍もの長さが要求される。
使用温度範囲も違う。−40℃〜85℃と広い。半導体デバイスにとっては高温側の拡張が厳しい。平均故障期間(MTTF:Mean Time To Failure)は300万時間とこれも長くなる。
SSDの信頼性を維持する仕組みの大半は、コントローラーICに組み込まれている。コントローラーICのそもそもの役割りは、ホスト側インタフェース(SATA/SAS/PCIeなど)との通信処理と、NANDフラッシュメモリの制御である。
これに、E2E(End to End)通信の保護機能やSECDED(Single Error Correction Double Error Detection)機能によるメモリの保護などのデータ保護機能が加わる。
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