SSDの使用温度範囲をクルマ向けに拡張するときは、NANDフラッシュメモリのしきい電圧(Vt)が温度によって変動することに留意しなければならない。温度が上昇すると、データ消去時のしきい電圧が室温に比べて下がる。温度が下降すると、データ書き込み時のしきい電圧が室温に比べて上がる。このほか高温では、蓄積した電荷の離脱が起こる。
NANDフラッシュメモリのデータ書き込み(プログラム)動作では、書き込み電圧をステップ状に少しずつ上げていき、しきい電圧の変化をモニターすることで正確にしきい電圧を制御する。温度が変化するとステップごとのしきい電圧の変化量が増減し、プログラム時間を変動させる。
ところで、SSDにはいくつもの規格化された外形寸法(フォームファクタ)が存在する。SSDが実用化され始めたころは、2.5インチHDDのフォームファクタを採用することが多かった。HDDの置き換え、すなわち、HDDと同じフォームファクタであることを重視したからだ。
その後、SSDの高い性能を生かした独自のフォームファクタが登場した。PCIe拡張ボード、SATAとSAS、PCIeを包含した汎用規格「U.2」、独自の小型カード規格「M.2」などである。
(次回に続く)
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