タングステン基板上に成長した多層CNT集合体の最表面をSEMで観察した後に、多層CNT集合体を剥ぎ取り、CNT単体の形状を透過電子顕微鏡(TEM)で観察した。そうしたところ、直径7〜15nmの多層CNTが基板表面にランダムに配向していることが分かった。
次に、新開発の多層CNT成膜法を用いて成長させた表面(多層CNT黒化面)の放射率と、その波長依存性を調べた。そうしたところ、CNT黒化面の放射率は可視波長域で0.99以上、赤外波長域では0.985以上であった。従来の黒化塗料などの放射率(0.96程度)に比べて、今回得られた多層CNT黒化面は、極めて高い放射率となることが分かった。
粒子ブラスト処理という方法は、塗装前の自動車車体の表面前処理などに利用されている。大型で複雑な曲面をもつ3次元物体であっても、その表面を低コストで簡便に処理できるなどの特長を持つ。新たに開発した多層CNT成膜法を用いることにより、これまでのスパッタリング法ではできなかった、カメラや天体望遠鏡といった光学製品内部の黒化処理や標準光源(黒体炉)の高性能化が可能になるという。
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