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多層CNT成長法を開発、3次元物体表面も簡便に粒子ブラスト法により、大気中で表面処理(2/2 ページ)

» 2016年07月07日 09時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]
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直径7〜15nmの多層CNTが基板表面にランダムに

 タングステン基板上に成長した多層CNT集合体の最表面をSEMで観察した後に、多層CNT集合体を剥ぎ取り、CNT単体の形状を透過電子顕微鏡(TEM)で観察した。そうしたところ、直径7〜15nmの多層CNTが基板表面にランダムに配向していることが分かった。

左と中央が多層CNT成長させた後のタングステン基板のSEM像、右は多層CNT膜のTEM像 出典:産総研

 次に、新開発の多層CNT成膜法を用いて成長させた表面(多層CNT黒化面)の放射率と、その波長依存性を調べた。そうしたところ、CNT黒化面の放射率は可視波長域で0.99以上、赤外波長域では0.985以上であった。従来の黒化塗料などの放射率(0.96程度)に比べて、今回得られた多層CNT黒化面は、極めて高い放射率となることが分かった。

多層CNT黒化面の可視波長域と赤外波長域の放射率の波長依存性を示した図 出典:産総研

 粒子ブラスト処理という方法は、塗装前の自動車車体の表面前処理などに利用されている。大型で複雑な曲面をもつ3次元物体であっても、その表面を低コストで簡便に処理できるなどの特長を持つ。新たに開発した多層CNT成膜法を用いることにより、これまでのスパッタリング法ではできなかった、カメラや天体望遠鏡といった光学製品内部の黒化処理や標準光源(黒体炉)の高性能化が可能になるという。

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