米国の市場調査会社であるThe Linley Groupでアナリストを務めるBob Wheeler氏は、「Barefoot Networksが作成に携わった新言語P4については、今後の見通しは明るいだろう。ただ、同社は今こそ、自社の半導体技術に関する詳細を明示すべきではないだろうか」と指摘する。
Wheeler氏は、「P4は、OpenFlowが担うはずだった役割を実現するのではないか。OpenFlowは、高度に設定可能なパイプラインを提供できると考えられていたが、レガシープロトコルやシリコンなどによって制約されていた」と述べる。
さらに同氏は、「P4の開発は、白紙状態から取り組んだため、SDNデータプレーンにはいまだ成長の余地がある。市場が迅速に成長するかどうかは、AmazonやFacebook、Google、Microsoftなどの超巨大企業にかかっている」と述べる。
中国のHuaweiやTencentなど、さまざまな企業のシニアマネジャーたちが、Barefoot Networksが正式に発表したプレスリリースの中で、Barefoot Networksのコンセプトについて称賛の言葉を述べている。
LinkedInでプリンシパルエンジニアを務めるYuval Bachar氏は、「LinkedInの次世代データセンター開発における主要な要素の1つに、プログラム可能なネットワークファブリックがある。われわれが思い描いているビルディングブロックの1つとして、TofinoとP4を採用するというチャンスを得ることができ、とても興奮している」と述べる。LinkedInは最近、Microsoftによる買収に合意したところだ。
P4関連の取り組みの状況から、Barefoot NetworksのTofinoチップとSDNの全容について垣間見ることができる。
Barefoot Networksの創設者であり、チーフサイエンティストを務めるNick McKeown氏は、米スタンフォード大学(Stanford University)の教授も兼任しており、P4の開発に携わった人物の1人だ。P4の仕様は、既に3年ほど前に公開されていて、最近行われたP4のワークショップには、AT&TやFacebook、Intel、Microsoft、Netronome、Xilinxなどの企業から約100人の参加者が集まった。
AT&Tは2016年初めに、「Juniper NetworksのPoC(概念実証)システムにP4を使用し、わずか78行のコードを使って30日間で構築することができた」と発表している。P4グループは現在、40社を超えるメンバー企業で構成されており、その中には、サービスプロバイダーであるComcastや、韓国の大手通信プロバイダー2社なども含まれている。
Netronomeは、IntelのIXPネットワークプロセッサを入手しており、ソフトウェアの強力なサポーター企業の1社である。Netronomeは、自社のネットワークインタフェースカード(Network Interface Card:NIC)でP4を使用し、間もなく生産を開始する予定の開発キットのデモを披露した。ただしP4グループは、現在もコンパイラ仕様を絶えず変化させている。
Netronomeでデータセンター戦略担当ゼネラルマネジャーを務めるSujal Das氏は、「機能セットについては、製造ソリューションを構築するのに十分な状態だといえる。当社としては2017年に、P4を一部で導入するつもりだ。当社のユーザー企業の中には、当社のハードウェアやツールを採用して、P4の初期段階のPoC開発に取り組んでいる、大規模な通信事業者やクラウドサービスプロバイダーなどが3社ある。また、当社のツールを使用してデータプレーン開発を手掛ける大規模なOEMメーカーも3社ある」と述べている。
Netronomeでテクノロジー&アライアンス担当ディレクターを務めるBapi Vinnakota氏は、「業界団体であるOpen-NFP(Open Network Function Processing)研究所では、データプレーンアクセラレーションの開発が進められている。この取り組みはもともと、Netronomeのデータプレーンアクセラレーション研究開発プロジェクトとして始動したものだ。しかし当社としては、ハードウェアアクセラレータを手掛ける他のメーカー各社にも、ぜひ参加してほしいと考えている」と述べる。同氏は、Open-NFP研究所の運営にも携わっている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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