米国のメーカーが、筋肉の神経信号で動く義手「LUKE arm」を間もなく発売するという。“LUKE”という名は、「スター・ウォーズ」の主人公ルーク・スカイウォーカーが基になっているそうだ。
米国の発明家でDean Kamen氏が創設したDEKA Research & Development(以下、DEKA)が開発した筋電義手「LUKE arm」が間もなく発売される。開発に数年を要したこの義手は、映画「スター・ウォーズ」の主人公ルーク・スカイウォーカーの義手になぞらえて「LUKE arm」と呼ばれている。LUKEは、「Life Under Kinetic Evolution(革新的な動力学を適用した生活)」の頭文字ともいわれている。
LUKE armは、米国防高等研究計画局(DARPA)が進める「Revolutionizing Prosthetics(革新的な義肢)」プログラムの一環として開発され、DEKAの関連会社とされる医療機器メーカーのMobius Bionics(以下、Mobius)から販売される。
LUKE armは、前腕を肩部分から切断された患者向けに設計された。電動の肩と回転する上腕骨、複数の動作が可能な手首で、強じんでありながら柔軟で精巧な動きを実現したという。筋電図センサーで切断部に残った筋肉の神経信号を読み取って動作する他、着者の靴に取り付けたセンサーでも操作できるという。握った力の強さがフィードバックされるため、装着者は物をつかんでいる感覚を感じられるという。
LUKE armの価格情報は公開されず、保険が適用されるかどうかも不明だ。DEKAとMobiusは、現時点ではコメントを発表する予定はないという。これまで伝えられたところによると、LUKE armの価格は10万米ドル以上になると予想され、想定されるユーザーには手が届かないほど高額だ。
DEKAとMobiusは、米国ニューハンプシャー州マンチェスターに拠点を置く。Mobiusは2016年4月にニューハンプシャー州で法人登録されているが、この登録を担当したのはDEKAと同じ登録エージェントだった。
LUKE armは2014年、米食品医薬品局(FDA)が革新的な医療機器に対して付与する「De Novo」認定を受けている。DEKAは過去数年間、米退役軍人省(United States Department of Veterans Affairs)と協力して、退役軍人の義手のテストと評価に取り組んできた。
Mobiusは、2016年後半にLUKE armを発売する計画だという。オートメーション装置や組み立て装置を手がけるUniversal Instrumentsが製造するという。Mobiusは現在、LUKE armの購入に関心のある、切断手術を受けた患者を募っているという。
Kamen氏はMobiusが発表したプレスリリースの中で、「上肢切断者1人1人の協力を得て義手に対して望むことや困っている点を調査したことが、LUKE armの開発に非常に役だった。彼らの意見やアドバイスのおかげで、世界最高性能の上腕義手を設計し、FDAの認可を受けることができた」と述べている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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