LTE-UとWi-Fiの共存については賛否両論があるが、少なくともWi-Fiのアクセスポイント間における干渉レベルの調査は、まだ不十分なようだ。
アンライセンス周波数帯で使用するLTE(LTE-U)とWi-Fiネットワークが、同周波数帯を公正に共有できることを確認するためのテスト方法が模索される中、Qualcommのエンジニアが、興味深いデータを公開した。
Qualcommの研究開発グループでエンジニアリング部門のバイスプレジデントを務めるMingxi Fan氏は、「3つのメーカーが提供する高品質のアクセスポイントでテストしてみた結果、周波数帯の共有の割合が10〜90%であることが分かった。同一ベンダーのアクセスポイントを使用している場合でも、結果は変わらなかった」と述べている。
Fan氏は、「問題は、ベンダー各社が、周波数帯を動的に共有するシステムを構成するために、さまざまなパラメーターを設定していることにある。パラメーターの設定によっては、あるアクセスポイントでアクセスタイムの90%を占有する場合もあれば、10%しか使わない場合もある」と説明している。
Qualcommのテストには、「民生向けの安価な製品ではなく、最高性能のエンタープライズ向けアクセスポイントを用いた」(同社)が、同テスト下でも共有の割合は一定しなかったという。
Qualcommは同テストで、2つのWi-Fiアクセスポイントからの送信要求メッセージのコリジョン(衝突)が発生し、エンドデバイスでメッセージの認識や返信ができない場合があることを発見したという。
Qualcommは、「こうした現象によって、伝送リンクが長時間停滞する可能性がある。この問題に対処する1つの方法は、エンドデバイスと複数のアクセスポイントの間にあるクロスリンクを取り除くことだ」と述べている。
同社の報告書には、共存テストの計画に関するWi-Fi Allianceの熱い議論について記されている。Wi-Fi Allianceは、「新しいLTE-Uシステムは、Wi-Fiデバイス間の干渉以上にWi-Fiアクセスポイントを干渉することがあってはならない」という点では意見が一致している。反対グループは、Wi-Fiの干渉のベースラインをどこに設定すべきかについて話し合っている。
無線通信のテストを行うOctoscopeに勤務する専門家Fanny Mlinarsky氏は、「アクセスポイントが相互にどのように影響し合うのかについて、これまでは厳密な調査が行われたことがなかった。LTE-Uに関して議論するために、現在、あらゆる事象について厳密に調査している」と述べている。
Mlinarsky氏は、「Wi-Fiの検出しきい値に対する影響については、多くの人が驚いている。業界はLTE-Uがどのようなもので、どのように使用するかについて、さらに真剣に議論すべきである」と話す。同氏は、「まず、LTE-Uによる悪影響があるかを正しく把握することが必要だが、現時点では判断に必要な十分なデータがない。業界が一丸となって調査に取り組み、合意できるテスト方法を模索すべきだ」と付け加えた。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.