Broadcom(ブロードコム)の売上高は、間もなく発表されるAppleの最新スマートフォン「iPhone 7」(仮)で通信チップのデザインウィンを獲得したことから、増加すると予想されている。ただし、他の用途向けの一部の製品について製造が追い付かないのではないかという懸念が生じているという。
Broadcom(ブロードコム)は、間もなく発表されるAppleの「iPhone 7」(仮)によって通信チップのシェアを拡大するとみられる。一方で、4Kセットトップボックスやデータセンター向けスイッチの需要に対応するための十分なチップを確保できないことが懸念されている。ただし、BroadcomのCEO(最高経営責任者)であるHock Tan氏は、「半導体業界全体は急成長とは言えないものの、安定した成長が続く」と予想している。
Broadcomは2016年9月1日、GAAP(一般会計原則)に基づく2016年度第3四半期(5〜7月期)の決算報告を行った。同四半期の売上高は前四半期から7%増となる37億9200万米ドルで、純損失は3億1500万米ドルだった。買収関連のコストを除外した非GAAPベースでは、同四半期の売上高は12億9300万米ドル、1株当たりの利益(EPS)は2.89米ドルで、アナリストの予想額をわずかに上回る結果となった。
Avago Technologiesは2015年5月、半導体業界史上、最高額となる370億米ドルでBroadcomを買収し、2016年2月に買収手続きを完了。Tan氏が合併会社(新生Broadcom)のCEOを引き継いだ。新生Broadcomは2016年4月、ワイヤレス事業の一部をCypress Semiconductorに売却したが、事業売却によるコスト削減効果が見込めるのは2017年以降になる見通しだ。
Tan氏は、金融アナリストとのカンファレンスコールの中で「当社は、目標とするビジネスモデルに向かって急速な進化を遂げたが、期待されるコストシナジーを十分に認識できるには至っていない」と話したという。
Broadcomは、同社の通信チップを搭載したiPhone 7に後押しされる形で、2016年度第4四半期の売上高は前四半期比で8%増、EPSは同16%増になると予想している。Broadcomのワイヤレス事業は、2016年第3四半期(6〜8月期)の売上高が27%増加したが、その大半はiPhone 7関連の受注によるものだという。iPhone 7が増産されれば、2016年第4四半期のワイヤレス事業は売上高が、前年比でさらに30%増加する可能性もあるという。
Broadcomは長年、iPhoneにおいて、Wi-Fi/Bluetoothのコンボチップのデザインウィンを獲得してきた。一方、Avago Technologiesは、iPhoneのパワーアンプを提供している。これまでのところ、最新のiPhoneに搭載される部品は、Broadcomのシェアが拡大すること以外は2015年の製品と大きくは変わらないとされている。
旧Avago Technologiesの圧電薄膜共振器(FBAR:Film Bulk Acoustic Resonator)フィルターは、将来的にiPhoneや、Samsung Electronicsの「Galaxy」に搭載されると期待されている。同フィルターは、スマートフォンの周波数帯の追加やLTEのキャリアアグリゲーションのサポートに使われる。
Broadcomは、Avago Technologiesの6インチウエハー対応工場を8インチ対応に切り替えて、コストと消費電力を低減し、チップの提供を増大したい考えだ。同計画は2018年に完了予定だという。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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