矢野経済研究所は、車載ディスプレイの世界市場に関する調査結果をまとめ公表した。2015年から2022年までの年平均成長率(CAGR)は9.0%と予測する。
矢野経済研究所は2016年9月、車載ディスプレイの世界市場に関する調査結果をまとめ公表した。2015年から2022年までの年平均成長率(CAGR)は9.0%となり、2022年の車載ディスプレイ世界市場は1億7326万枚に拡大すると予測した。
同社が調査対象とした車載ディスプレイは、自動車内装に用いられるセンターインフォメーションディスプレイ(CID:Center Information Display)やクラスター(Cluster :Instrument Cluster)、リアシートエンターテイメント(RSE:Rear Seat Entertainment)、ヘッドアップディスプレイ(HUD:Head-up Display)、カメラモニタリングシステム用電子ミラー(Back Mirror/Side Mirror)向けTFT液晶ディスプレイ(TFT-LCD)およびAM-OLED(Active Matrix Organic Light Emitting Diode)である。TN型やSTN型液晶ディスプレイ、VFD(蛍光表示管)は含まれない。また、市場規模は純正品を対象とし、調査は2016年6〜8月に実施した。
調査によると、2015年の車載ディスプレイ世界市場規模(メーカー出荷数量ベース)は9464万枚となり、前年に比べ6.9%増と大きく伸びた。ディスプレイオーディオの搭載率向上などによるCID向け需要の拡大や、クラスター向けでローエンドとミドルエンド車種においてTFT-LCDの搭載率が向上したことなどが成長要因と分析する。需要が拡大したCIDとクラスター向けディスプレイは、車載ディスプレイ市場全体の約95%を占めるという。
2016年も前年同様の傾向が続くと予想する。これを踏まえて、2016年の車載ディスプレイ世界市場は1億195万枚の規模となり、前年に比べ7.7%増加すると予測した。
調査では、車載ディスプレイの動向を搭載部位別にもまとめた。これによると2017年以降、ハイエンド車種を中心に搭載が始まるとみられるHUDとサイドミラー向けディスプレイを注目製品として挙げた。HUDは欧州市場でハイエンド車種への搭載率が上昇している。表示画面サイズの大型化も進んでおり、表示可能な情報量が増える。これによって、これまでの速度や燃料残量の表示に加えて、カーナビゲーションの情報やスマートフォンと連動した画面表示も可能になるという。
サイドミラー用ディスプレイは、ミラーレス車の製造解禁に伴い、新たな市場として注目を集める分野である。この機能を実装するには車両やシステムの設計変更などが必要となる。このため、搭載が始まるのは、2018年以降に発売される欧州製のハイエンド車種からとの見通しである。
車載用OLEDパネルの動向にも注目した。調査では、2018年ごろからOLEDパネルを搭載した車種が登場するとみている。Benz製Eクラスではオプションとして12インチ級のOLEDパネルが用意される予定である。LG Display製のプラスチックOLEDが搭載されるとみている。
これからも、車載ディスプレイ需要は、CIDとクラスター向けが中核となって需要を拡大する。これらの用途に加えて、2017年以降はハイエンド車種を中心に搭載が本格化するHUDや電子ミラー向けにも車載ディスプレイの需要が拡大する見通しだ。この結果、2015年から2022年における車載ディスプレイ世界市場のCAGRを9.0%と予測した。
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