Qualcommには、いくつもの事業拡大の選択肢があった。モバイル向けの半導体技術の向上、製品ラインアップの拡充などである。
Mollenkopf氏は、「当社は今後20年間で自動車やIoT分野がどうなっていくのかを考慮した」と述べている。「これらの分野では、技術革新のスピードが驚異的なほど速い。一方で携帯電話機の分野ではそのスピードが既に緩やかになっている」(同氏)
自動車とIoTに向けた、より先端の技術ロードマップを考えると、「今こそが、NXPを買収する最適な時期だった」(Mollenkopf氏)
NXPにとっても利点はある。車載分野においてリーダーシップは握っていても、NXPのCEOであるRichard Clemmer氏は、「特にADAS(先進運転支援システム)において、われわれはコンピューティング性能を上げていく必要があった」と説明する。
Clemmer氏は、この数四半期の間、NXPのエグゼクティブバイスプレジデントで自動車事業部門のゼネラルマネジャーを務めるKurt Sievers氏と、ずっと話し合ってきたという。両氏とも、ADASプラットフォームで、コンピューティング性能が必要だということを認識していた。「とりわけ機械学習(マシンラーニング)の技術が必要だったが、社内では開発プロジェクトがなかった」(Clemmer氏)
今回の買収により、NXPはテレマティクスとコネクティビティ分野においてビジネス機会を見いだせるようになる。
一方でQualcommにとっては、同社が車載分野に入っていく鍵を握っているのがNXPである。参入障壁が高く、長い製品サイクルを持つという自動車業界の特質を考えると、NXPが持っている、自動車メーカーやティア1サプライヤーとのコネクションは、Qualcommにとっては大きな資産となるだろう。
【翻訳、編集:EE Times Japan】
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