OKIエンジニアリング(OEG)は2015年2月、宇宙航空・産業機器向けの環境試験サービス事業を拡大するため、「西東京試験センター」を開設した。本記事は、西東京試験センターについてOEG社長の柴田康典氏に話を聞くとともに、施設の様子を写真で紹介していく。
過酷な環境で確実に動作する機器を開発するには、事前のさまざまな評価試験が欠かせない。OKIエンジニアリング(OEG)は、そのような試験サービスを提供している企業である。同社は、沖電気工業など12社の出資により1973年に設立。電子機器や半導体部品の信頼性に関する試験や評価、分析などのサービスを提供している。
例えば、宇宙航空分野では、FPGAのスクリーニング(あるストレスを加えて潜在欠陥を早期に除去する手段)を通して、小惑星探査機「はやぶさ」の信頼性向上に貢献したことで、2010年12月に文部科学大臣と宇宙開発担当大臣から表彰された。
自動車分野では、日産自動車などがOEGの良品解析サービス「LSIプロセス診断」を活用している。LSIプロセス診断とは、電気的に良品であるデバイスの内部構造を詳細に解析するサービスだ。故障の要因となる不安要素の有無やばらつきなどから、将来的に故障に至る危険性があるかどうか、品質の評価を行う手法だ。
2008〜2015年までの売上高推移では、年平均12%の成長を継続。OEG社長の柴田康典氏は、「特に自動車や産業・工作市場において大きく成長している。今後も、信頼性関連業務の設備投資を強化することで、顧客の要望に応えていく」と語る。
OEGは本社を練馬区氷川台に置くが、埼玉県本庄市に大規模な工場を持つ。2015年2月には、宇宙航空・産業機器向けのサービス事業を拡大するため「西東京試験センター」(東京都東久留米市)を開設した。今回、新しく開設した西東京試験センターについて柴田氏に話を聞くとともに、施設の中を見学させてもらうことができた。
西東京試験センターは、航空宇宙やロボット向けなど、大きな装置ではないが厳しい条件が求められる部品向けの環境試験サービスがそろっている。
もともとは、JEITA(電子情報技術産業協会)の前身であるJEIDA(日本電子工業振興協会)が、「信頼性センター」として1964年9月に設立している。1975年にRCJ(財団法人日本電子部品信頼性センター)に移管後、2015年2月にOEGに譲渡された。試験を担当する技術者はRCJからそのままOEGに移り、2016年11月現在で6人が働いている。
OEGに移管後、売り上げは1年間で20%増加しており、2020年には2014年売り上げの2倍を目指すという。設備投資も進め、より条件の厳しい環境試験ができる「急速温度変化チャンバー」や、300℃まで対応した「熱衝撃試験」などの設備をこの1年間で導入した。ちなみに、OEG全体としては、年間2〜3億円を設備投資に費やしているようだ。
また、2016年9月には電気・電子部品に使用される樹脂材料の「UL94燃焼性試験」サービス開始も発表している(関連記事:OKI、「UL94燃焼性試験」サービス開始)。
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