u-bloxは2016年11月、自社で開発製造するベースバンド/RF LSIを搭載した通信モジュール「LARA-R3121」を発表した。IoT(モノのインターネット)機器などに向けたLTE規格「LTE Cat1」に対応した。
u-bloxの日本法人であるユーブロックス・ジャパンは2016年11月28日、都内で同年11月に発表したLTE Cat1に対応したモジュール製品「LARA-R3121」に関する説明会を開催した。LARA-R3121は、無線通信モジュールとして同社初の自社製通信チップセットを搭載した製品で、車載や産業機器用途など、長期供給、高信頼性が求められる用途向けに展開する。
u-bloxは、スイスに本社を置くモジュールベンダーであり、GNSS(全球測位衛星システム)モジュールや、2G(第2世代移動体通信)〜LTE対応品をはじめとした無線通信モジュールを主に手掛ける。GNSSモジュールについては、自社で設計開発、製造した自社製受信チップをベースにモジュールを開発、製造するが、無線通信モジュールについては、核となるベースバンドLSIおよびRF LSIについては、「QualcommやIntelなどモバイル端末向けにも通信用チップセットを提供するベンダーから調達して、モジュールに搭載してきた」(日本法人ビジネスディベロップメントマネージャーを務める吉田正徳氏)という。
そうした中で、u-bloxは2012年にLTE用のソフトウェアなどを手掛ける「4M Wireless」と、ソフトウェア定義モデム技術をベースにしたベースバンドチップの設計・開発を専門にする「Cognovo」の2社を買収するなどし、自社で通信用チップ、ソフトウェアの開発が行える体制を構築し、開発を進めてきた。
そして、今回、初の自社製通信用チップセットを搭載したモジュールとして、LARA-R3121を開発。2017年6月をメドにサンプル出荷を開始する。
自社製チップセット搭載に踏み切った理由として吉田氏は「チップセットを外部調達に頼ると、調達先の事業撤退など予期せぬことが起こるリスクがある他、万が一の不具合、故障発生時も調達先のチップベンダーの指示を仰がなくてはならない。自社で開発、製造すれば、供給期間をしっかりとお約束できる他、万が一の不具合発生時も、チップやフォームウェアのローレイヤーも含めて自社で回答できる。(u-bloxが焦点を当てる)車載や産業用途向けモジュールで、半導体レベルまで自社で対応できる技術力があるということで(顧客から)大きな信頼を得られる」と語る。
自社製通信用チップセット搭載製品第1弾となるLARA-R3121は、IoT(モノのインターネット)機器などに向けたLTE規格であるLTE Cat1(カテゴリー1)に対応する通信モジュールだ。
吉田氏は「自社でチップセットを開発するのは、(現状、スマートフォンなどに採用される)LTE Cat4などの高速なLTE規格ではなく、LTE Cat1などのIoT向けの低速なLTE規格向けのチップセット」とし、今後「LTE Cat M1」や「LTE Cat NB1(NB-IoT)」に対応したチップセットの開発を検討、実施しているという。「LTE Cat4やCat 6など高速なLTE規格に対応したモジュールについては、これまで通りチップセットは外部調達して提供する」(吉田氏)
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