新原理のトランジスタによるLSI動作実証に成功:トンネルFET(2/2 ページ)
なお、産総研では、次世代トランジスタの動作速度を改善する技術として、トンネルFETの駆動電流増大技術も開発。同技術を適用したトンネルFETによるリング型発振回路と、適用していない同回路での動作周波数を比較したところ、同技術により動作周波数が約2倍向上することを確認したとする。
駆動電流増大技術を適用した場合/しない場合のトンネルFETリング発振回路の動作周波数 (クリックで拡大) 出典:産業技術総合研究所
今後、産総研は「今回のトンネルFETの動作電圧は期待値よりも高かったため、しきい値電圧調整技術の開発などによる低電圧動作を目指す。また、実用化には、さらに100倍程度の動作速度が必要になるため、高速化させる。リング型発振回路以外のトンネルFETを用いた集積回路の実現なども目指す」としている。
今回の開発成果は、米国サンフランシスコで開催されている国際会議「2016 IEEE International Electron Devices Meeting」(2016年12月5〜7日、現地時間)で発表される。
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