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AM放送帯より高い「2.1MHz動作」の車載D級アンプ基板サイズは3分の1以下へ

日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は2016年12月6日、2.1MHzのPWMスイッチング周波数で動作する車載向け4チャンネルD級オーディオアンプ「TAS6424-Q1」を発表した。

» 2016年12月07日 13時30分 公開
[庄司智昭EE Times Japan]

最大300Wの出力が可能

 日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は2016年12月6日、2.1MHzのPWMスイッチング周波数で動作する車載向け4チャンネルD級オーディオアンプ「TAS6424-Q1」を発表した。AM放送帯を超えるスイッチング周波数により、ビート対策回路が不要。ローパスフィルターやコンデンサー、インダクターなどの外付け部品を小型化することが可能になり、基板サイズは従来品と比較して3分の1以下を実現できるという。

 96KHzのデジタルオーディオ入力で、DSPから直結してフルデジタル化が可能となっている。動作電圧は4.5〜26.4Vのため、電圧ブースターなしでアイドリングストップに対応する。最大出力は75W(4Ω、25V時)のため、4チャンネルで300Wの出力が可能だ。また、高精度なインピーダンスと位相測定ができることにより、正確なツイーター断線検出などのI2C負荷診断機能をそろえていることも特長である。

「TAS6424-Q1」の評価モジュール (クリックで拡大)

 パッケージは放熱特性を向上した「PowerPAD HSSOP」を採用しており、既に販売を開始している。1000個購入時の参考単価は、5.97米ドルである。評価モジュールや8チャンネルのレファレンスデザインでの提供も行われている。日本TIの担当者は「製品単体でみると少し割高だが、2,1MHz動作によるメリットにより、部品点数削減などが可能になるため、システム全体でコスト競争力もあると考えている」と語る。

 車載インフォテインメントシステムやデジタルラジオ、車載シートバイブレーションアラームなどの用途を想定するが、当初は外付けアンプでの採用が進むだろうとした。

評価モジュールなども提供

「TAS6424-Q1」 (クリックで拡大) 出典:日本TI

 日本TIは、2007年に車載向けD級アンプ「TAS5414A-Q1」を発表している。2015年までに車載アンプを2500万台を出荷しており、約50%のマーケットシェアを誇る。ティア1サプライヤーやOEMメーカーのトップ10社の内、7社で採用事例があるという。

 また、2013年には緊急通信やテレマティクス用のD級アンプ「TAS5421-Q1」を発表。1チャンネルの製品で、小型で低消費電力を生かした製品だ。「このような歴史の中で、高信頼性が求められる車載用オーディオ向け製品として、EMC特性や自己診断機能の拡充、AEC-Q100への対応などのノウハウを蓄積してきた」(担当者)と語る。

 しかし、市場からの要求として、厳しい環境で高出力をより小型で実現することが求められていた。従来品は発熱が多く、大きなヒートシンクが必要になるなど、サイズの要求に応えられない難しさがあったとする。そこで、TAS6424-Q1の開発が行われた。

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