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ルネサス呉CEO、2017年度は「売り上げ上昇する」Intersil買収作業は「順調」(3/4 ページ)

» 2016年12月26日 10時45分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]

売り上げ、2016年度が底

――2016年11月に新しい中期経営計画を策定、公表されました*2)。売り上げ拡大を伴う成長の実現という観点で、中期経営計画は満足いく計画になりましたか。

呉氏 売り上げ成長については、中期というよりも、短期的に伸ばしたい。売り上げは、今期2016年度(2017年3月期)が底。非注力事業からの撤退影響がなくなり、足元の需要も強く、2017年度から上昇する。

 こうした売り上げ上昇は、私が就任する前の経営層がボラタイルマーケットから撤退し、自動車、産業機器に注力するという正しい判断をしたからこそだ。

 中期経営計画は、これまでの戦略と大きく変わらないが、自動車では、自動運転、環境の領域、産業機器では、スマートシティなどの領域での事業を強化する。こうした領域で強化を進めることで、(売り上げは)上がっていく。

中期経営計画の主な数値目標 出典:ルネサス エレクトロニクス

*2)関連記事⇒営業利益率20%以上めざす:ルネサス、中期経営数値目標を上方修正

――目標として掲げている市場成長率の2倍の売り上げ成長は2017年度から達成できそうでしょうか。

呉氏 注力している領域に限っては、市場成長率の2倍を目指したい。

自動車、産業機器もそろって成長フェーズへ

――自動車、産業機器市場は、あらゆる半導体メーカーが参入し、強化を図っています。

呉氏 まず、自動車はマイコンに関わる部分に関しては、全ての領域で強い。車載マイコンに関しては、まだまだ圧倒的に強い。現在のデザインインの状況からすると、今後、ますます伸びる方向にあり、世界の自動車メーカー、ティア1メーカーとの関係性は深いものがある。

自動車向けビジネスでは、将来の売り上げにつながるデザインインを近年順調に獲得しているという 出典:ルネサス エレクトロニクス

 決して、侮るわけではないが、新規参入の半導体メーカーが走る、曲がる、止まるの部分で、われわれの形勢が一気に悪くなるとか、事業戦略を変える必要性が生じるとかは考えられない。

――産業機器向け事業は、非注力事業撤退の影響が大きく、売り上げ減少が続いています。売り上げ成長に向けた見通し、戦略をお聞かせください。

呉氏 自動車、特にADASなどは、立ち上がりが早く、成長につながっている。しかし、産業機器、IoTの部分は比較的立ち上がりが遅れている。

 ADASなどは1ダースほどしかない自動車メーカーがグローバルなビジネスを展開し、1社の自動車メーカーが新しいトレンドを起こせば、一気にそのトレンドが広がるので、立ち上がりが早い。

 しかしIoTは、非常に多くの参加者が存在し、地域的な規制なども影響し、世界中に広がることも少ない。だから、スマートシティ、スマートホームなどの分野の立ち上がりは、自動車に比べ遅れていると分析している。

 売り上げ成長については、非注力事業の撤退はほとんど終えており、2017年度から産業機器/IoT向けも上昇する。

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