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ルネサス呉CEO、2017年度は「売り上げ上昇する」Intersil買収作業は「順調」(1/4 ページ)

ルネサス エレクトロニクスの社長兼CEOの呉文精氏は2016年12月、EE Times Japanのインタビューに応じ、2017年度(2018年3月期)は売り上げ上昇を伴う成長を実現するとの意向を示した。Intersilの買収についても「順調に進んでいる」とした。

» 2016年12月26日 10時45分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]

成長託され2016年6月社長兼CEO就任

 2016年6月にルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)の社長兼CEOに就任した呉文精氏。構造改革を終え、成長へとギアチェンジするルネサスのかじ取り役を任された格好だ。ただ、2016年は、熊本地震での工場被災などもあり売り上げは前年を下回る公算が高くなっている。そうした中で、どのように成長を実現していくのか。呉氏にインタビューした。

EE Times Japanのインタビューに応じた呉文精氏

熊本地震での被災

――就任1年目、2016年度のこれまでを総括いただけますか。

呉文精氏 2016年は、4月、8月と2度、熊本での地震被害に見舞われた。

 とはいえ、2011年の東日本大震災による那珂工場(茨城県ひたちなか市)の被災に比べれば、はるかに被害規模を軽微にとどめることができた*1)

 例えば、製造装置内で加工中のウエハーこそ地震で回復不能となり失ったが、装置内に入っていない“仕掛かり品”については全て無事だった。2011年の時は、こうした仕掛かり品も全て失っていた。2011年以降に行った対策が功を奏し、教訓が生かされたといえる。

 ただ、2度目となった8月は、他社の熊本地方の半導体工場には影響がなかった規模の地震だったが、当社の川尻工場(熊本市)は震源が至近だったため、被害が生じた。4月の被災から復旧し、リカバリー生産のピーク時期での被災であり、地震の規模以上に痛手になってしまった。

 顧客、サプライヤーなど関係者のご協力を得て、早期に通常稼働まで復旧することができたが、まだ地震対策、BCP(事業継続計画)は100点満点ではなく、新たな対策を打つ必要性を感じ、現在、対策を検討、着手している。

*1)関連記事⇒熊本地震で被災も早期復旧へ:ルネサス、5年前の教訓生かした震災対策「成果出た」

――どのような対策を進められるのですか。

呉氏 例えば、4月の地震では、工場での直接的な被災もあったが、周辺のサプライヤーの被災が目立った。サプライチェーンとしてのBCPを強化する必要がある。

 また、いわゆる“安全在庫”が少なすぎたという反省もあった。在庫は無限に持てるものではないが、あらためて、顧客と議論しながら、どの製品はどれぐらいの量の在庫が適正なのか、再度、見直しを始めている状況だ。

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