ルネサス エレクトロニクスは2016年11月2日、2016年12月期第2四半期業績とともに中期成長戦略を発表し、今後4〜5年先を目標に売上総利益率50%、営業利益率20%以上を目指す方針を示した。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2016年11月2日、2016年12月期第2四半期業績と中期成長戦略を発表した。中期成長戦略では、これまでの経営数値目標を上方修正し、売上総利益率50%、営業利益率20%以上を今後4〜5年程度の中期に達成を目指していく。
ルネサスは、これまで経営数値目標として「売上総粗利益率45%」「営業利益率15%」を掲げてきた。今回、発表した中期成長戦略での数値目標は、これを上方修正し「売上総粗利益率50%」「営業利益率20%以上」へと改めた。
ルネサス 社長兼CEOの呉文精氏は「これまでの売上総利益率45%という目標は、2020年ぐらいまでに達成できるという状況にあり、これを今回、5%上乗せし、50%とした。(上乗せの)5%分は、効率化や(2017年上期中に買収完了予定の)Intersil(インターシル)との統合によるシナジーを極大にまで広げて、達成したい。営業利益率も従来目標の15%は数年内に達成できる見込みとなっているため、そこからの積み上げを図る」と語った。
また新たな数値目標として、注力市場の市場成長率の2倍となる半導体売り上げ成長率達成を掲げ「注力市場の市場成長率はおおよそ3%とみており、ルネサスとしては6〜7%の売り上げ成長を目指すことになる」(呉氏)とした。
この他、売上高に占める研究開発(R&D)費比率も「売上高を伸ばすため」(呉氏)との狙いから従来の15%から16〜18%に高め、新製品開発を急ぐ方針を打ち出した。
注力領域としては、高い世界シェアを誇るマイコンとSoC(System on Chip)といった製品を軸に、自動車、産業/汎用領域を狙う方針で、これまでと変えていない。
自動車向け事業では、2015年度世界出荷数9億2000万個で「世界ナンバーワンシェア」とする車載マイコン/SoCでさらなるシェア向上を狙う。特に近年は、「競合よりも2年先を行っている」(大村氏)という先端のフラッシュ混載プロセス技術を使ったマイコン製品で、比較的シェアの低かった車体制御向け、シャシー&セーフティー用途向けを中心に「好調にデザインインを獲得している」(大村氏)。その上で、大村氏は「東日本大震災での被災影響などにより2013年度まで減少傾向にあった(車載事業における)新規商談(デザインイン)獲得金額は、2014年度以降大きく回復し、2015年度は過去最高の商談獲得金額(=顧客生涯価値[LTV]ベースで5000億円以上)を達成し、2016年度も上期時点で、2015年度通期獲得規模に迫るデザインインを獲得できている」と将来のシェアアップに向け自信を示した。
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