――産業機器/IoTといった汎用向け事業の売り上げ拡大を引っ張る製品、ソリューションはどのようなものでしょうか。
呉氏 1つは、中国やインドで高いシェアを持つスマートメーター向け。中国でもう1段厳しい規制が始まることもあり、さらに伸びていく見込み。その他、エアコン用などのインバーター向け、空気清浄機向けなども伸びる見込みだ。この辺りが、2017年度の売り上げ拡大に貢献するとみている。
2018年度以降では、IoT機器向け設計基盤「Renesas Synergyプラットフォーム」(以下、Synergy)*3)や産業機器向け設計基盤「RZ/G Linuxプラットフォーム」*4)が期待できる。
これらの製品は、多くのパートナーとともに構成するエコシステムを構築し、非常に多くの顧客に対し、使いやすい検証済みのソフトウエアや開発環境をマイコン/ボードとともに提供するプラットフォーム製品だ。Synergyは、2017年度後半から売り上げに効いてきて、2018年度には結構、大きな売り上げになることを期待している。
*3)関連記事⇒米国発の設計基盤「Synergy」で:「半導体業界の“Apple”を目指す」ルネサス
*4)関連記事⇒機器開発時間/費用を40%削減:ルネサス、産機向けに動作検証済みLinuxを提供
――SynergyやRZ/G Linuxプラットフォームは、検証済みソフトウェアを提供するなど開発費が掛かりますが、収益性は確保できそうですか。
呉氏 少なくとも、現状、Synergyは、単品で販売している他のマイコンよりも、高い利益率を確保できている。エコシステムを活用した開発体制が構築できている部分もあり、効率よく開発できている面もある。
――昨今、ソリューション提案として、大規模なProof of Concept(概念実証/PoC)を制作されています。こうしたPoCの開発費も相当大きく、収益性を悪化させていませんか。
呉氏 幅広く販売するためには、手触り感のあるものが必要だと考えている。半導体のことをよく知っている顧客以外にも、これまであまり半導体を使ったことのない顧客が増えており、やはり使いやすく、分かりやすいソリューションが必要になる。
ソリューション、PoCの強化は継続する方針で、2017年4月にもそうしたソリューションを紹介する大規模なプライベートイベント(Renesas DevCon Japan 2017)を開催する予定だ。
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