5Gの重要なユースケースの1つにコネクテッドカーがある。3GPPは、LTEをベースにしたV2X(Vehicle to Everything)の標準化も進めていて、V2V(車車間通信)に関しては策定が完了している。藤岡氏は、「2017年3月にはV2X向けの規格策定が全て完了する予定となっている」と説明する。
今後は、LTEベースに加えて、5GをベースにしたV2Xについても検討が必要になる。「3GPPでは、5GベースのV2XはLTEベースのV2Xを置き換えるものではなく、あくまで補完的するものとして合意されている」(藤岡氏)。3GPPは、V2X向け規格について、「LTEベースのV2Vの機能拡張は行わず、新たな機能については5Gベースで実現する」「LTEで実現可能なものは、できる限りLTEベースで実現する。LTEでは実現不可能な機能のみ5Gをベースにする」という2つの方向性で検討している。
なお、コネクテッドカーについては、2016年9月に「5G Automotive Association(5GAA)」が結成されている。5Gを利用するコネクテッドカーおよび関連するサービスの開発加速を目的としたもので、ドイツ自動車メーカー3社(Audi、BMW、Daimler)の他、Intel、Qualcomm、Ericsson、Nokia、Huaweiなどが参画している。藤岡氏は5GAAについて「あくまでもLTEや5G、つまりセルラーネットワークを使うサービスの実現を目指すもので、IEEE 802.11pをベースとしたDSRC(狭域通信)とは相いれないものになっている」と述べた。
通信市場でもう1つ注目を集めているのがLPWA(Low Power Wide Area)ネットワークだ。その中でも、3GPPで標準化されている「NB(Narrow Band)-IoT」や「LTE-Cat 1」「LTE-Cat M」といったセルラーIoTは、現在のところソフトバンクが2017年夏から順次、全国に展開していく予定である。
エリクソン・モビリティレポートによると、セルラーに接続されているIoTデバイスは2016年末で約4億台、2022年には15億台に上ると予想されている。さらに、2022年にはLPWAネットワークに接続される“広域IoTデバイス”のうち70%は、セルラーIoTにつながるとみている。
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