「人身事故」を真面目に検証するこのシリーズも、いよいよ佳境に入ってきました。最終フェーズとして「人身事故物理シミュレーション」を行っていますが、今回は、このシミュレーションを、より深く理解してもらうための4つの予備知識を説明します。今回もツラいです。それでも、「飛び込み」をなくすには、「飛び込んでから」の痛みを想像できるようになることが重要だと、私は思うのです。
「世界を『数字』で回してみよう」現在のテーマは「人身事故」。日常的に電車を使っている人なら、1度は怒りを覚えたことがある……というのが本当のところではないでしょうか。今回のシリーズでは、このテーマに思い切って踏み込み、「人身事故」を冷静に分析します。⇒連載バックナンバーはこちらから
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意識している訳ではありませんが、嫁さん、長女(高3)、次女(中2)、そして私の4人で、結構な頻度でディベートのまね事(ディベートもどき)のようなことをすることがあります。
これは「家族だんらん」というものとは一線を画します。なぜなら、そのテーマが哲学や倫理に関するものであったりしますし、それなりに「言い合い」にもなるからです。
「ディベートもどき」での話題は、私がその時に、連載を担当しているテーマに関することが多く、最近では「自殺」や「人工知能」について、家族で突っ込んだ会話をしています。
かつては、「人工生殖(クローン)*)」「同性愛」「原発」「初音ミク」「同人誌(の著作権)」「化物語(西尾維新先生)」「タイムマシン(シュタインズ・ゲート)」などでも、いろいろな議論をしました。彼女たちの意見は、私の発想の斜め上から繰り出されてくるものが多く、会話していて得るものが多いのです(実際に、何度も連載のネタになっています)。
*)例えば、「「親子でありながら、同時に双子の姉妹」に関する、江端家父娘のディベート」(参考)など
基本的には、この「ディベートもどき」は、私が話題を振って、家族がその話題について、持論を展開する形になっています。ロジック無視で持論を展開してもO.K.としているので、「勝ち負け」もありません。
それでも、私は、嫁さんや娘たちに『論破された』と感じることはあり、その時は、素直に「負けました」と頭を下げ、その後は、私は、自分の主張をホイホイと修正してしまいます。
ある日のこと、嫁さんが娘たちに話しかけていました。
嫁さん:「『パパが特別』なんだからね」
娘たちは、訳が分からないという顔で、嫁さんの次の言葉を待っていました。
嫁さん:「世の中の男が、妻や子どもに意見されて、そのまま意見を聞くと思っていたら、大間違いだからね。世の中には、いまだに、女子供に意見されたというだけで、キレるバカな男が多いんだからね」
嫁さん:「パパは、『筋が通っていて』、『論理的に閉じている』意見であれば、誰のどんな意見でも ―― 私たちの意見でも ―― 抵抗なく取り入れることができる人だけど、そんな男はまれだからね」
―― だからね、パパを基準として「男」を判断すると本当にひどい目に遭うからね
と娘たちに言い聞かせていました。
そして、その嫁さんの話を聞いていた私は、こう思うことにしました。
『何だか、けなされているような気もするが、多分いい話だ』
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