図3は、それら28個のCPUに使われているARMコアの内訳である。コントロール部、本体、カメラ部のおのおのにARMコアが使われている。プロセッシングに特化されたAシリーズ、リアルタイムの処理に最適化されたRシリーズ、コントローラーとして使われるMシリーズを合わせてさまざまなARM CPUがまるで百貨店のようにPhantom 4にちりばめられているわけだ。中には、中国のスマートフォンに使われるハイエンド仕様のモバイルプロセッサも使われている。さらに、DJIによって仕様が決められたと思われるカスタムチップも含まれていた。
図4は、28個のCPUを搭載するチップを、本社所在地ごとに分け、“国籍判断”を行ったグラフである。CPUを搭載したチップの半数以上は、中国で設計、開発された製品、つまり“中国国籍”であることが明確になったのだ!!
これはDJIに特有のことなのだろうか。スマートフォンやタブレット、ネットブックなどでも中国プロセッサの採用の割合は日々高まっている。今や世界3位のスマートフォンメーカーとなったHuaweiの製品は、同社傘下のHiSiliconが開発したプロセッサで動いている。
CPU大国は依然として米国だ。しかし、それを最も明確に追っているのは中国である。ご存じの通り、CPUはCentral Processing Unitの略だ。プログラムを実行する頭脳である。2016年、某国の半導体メーカーの幹部が次のように言っていた。「最も寿命の長い製品は、CPUを搭載するものだ。プログラム次第で用途が延命できるからである。だからCPUを扱いたい」。これは、本音だろう。
先のAmbarellaのA9がなぜ、多くの映像市場に広がったか。CPUやDSPというプログラマブルデバイスを持つことで市場に対応できたからだ。微妙に異なるアプリケーションにソフトウェアで対応できる柔軟性を持つ構造を持っていたからに他ならない。それがCPUの本質である。
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