Western Digital(ウェスタンデジタル)は、自動車市場に対し、組み込みフラッシュドライブ製品群「iNAND」の展開を加速させる。自動車市場でも低コスト、大容量のメモリへのニーズが広まり、iNANDの特長を生かしニーズの取り込みを図るようだ。
Western Digital(ウェスタンデジタル)は、e.MMCおよびe.MCPのインタフェース対応する組み込みフラッシュドライブ製品群「iNAND」のターゲットを、自動車市場に定めたようだ。
同社のiNAND製品群は、SanDiskを買収したことによって入手したものだ。SanDiskはもともと、iNANDを、スマートフォン市場において需要が高まっていた、プロフェッショナル向けのデジタル写真や4K超高精細映像用のストレージ製品として位置付けていた。
iNAND技術は、Western Digitalの傘下に入ったことで、ますます需要が高まっているコネクテッドカー向けのADAS(先進運転支援システム)や安全システムなど、さまざまなデータストレージ要件への対応にチャンスを見いだせるようになった。米国の市場調査会社であるGartnerの予測によると、コネクテッドカーないし自動運転車の1台当たりのデータトラフィックは2020年までに、1年間当たり280ペタバイトを超える見込みだという。このため、コネクテッドカーは基本的に“車輪の付いたデータセンター”として機能することになるだろう。
組み込みフラッシュドライブ「iNAND 7250A」は、容量が最大64Gバイトで、常時分析処理を行う診断システムや、絶え間なくストリーミングを実行するV2V(車車間通信)、V2I(車−インフラ間通信)システムの他、複雑化の一途をたどるインフォテインメントシステム、ナビゲーションシステムなどとの連携が可能だ。これら全てのシステムに共通しているのは、データを生成して受信し、処理を行うという点である。
Western Digitalでエンベデッド&インテグレーテッドソリューション担当バイスプレジデントを務めるChristopher Bergey氏は、EE Timesの電話インタビューの中で、「iNANDを自動車市場に移行させようとする動きの発端は、SanDiskが、組み込み市場に注力していたM-Systemsを買収した当時までさかのぼる。iNAND製品群の開発はその後、モバイル機器によって大きくけん引されてきた。モバイル機器市場は、当時から現在に至るまで、世界最大の市場としての位置付けを維持している」と述べる。
Bergey氏は、「iNANDは当初、自動車用途向けとして使われることもあったが、SanDiskは、特定の市場向けにボトムアップ設計手法を採用しようとはしなかった。ここ数年間は、特定の市場セグメントにおいて求められる性能や信頼性、容量などに個々に対応できるよう、システムレベルのアプローチが多く採用されるようになってきた」と述べている。
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