EETJ 注力する分野について教えてください。
正垣氏 IoT(モノのインターネット)を中心としたソリューションである。利益を出さなければならない分野と捉えており、5つの大きな市場に展開しようと考えている。「EMS・環境」「安全・安心」「生産設備」「産業冷熱」「ビル計装」だ。この5つに対して当社のソリューションを提供することで、新たな事業を創り出したい。
EETJ 具体的なビジネスモデルとしては、どのようにお考えですか?
正垣氏 例えば「第9回 国際カーエレクトロニクス技術展」(2017年1月18〜20日/東京ビッグサイト)では、「開発」「車載」「製造」「IoT」に分けて具体的なソリューションを紹介した。車載ソリューションは、当社が出資したAPTJが開発するAUTOSARをベースとした車載制御システムや、組み込みAI(人工知能)などである。
製造ソリューションは、人との協同作業を実現する産業ロボットや生産監視システム。IoTでは、RFIDタグを用いた入出庫アンテナスタンドや方向検知システムを紹介した。RFIDタグは当社が得意とする分野であり、自動車の製造ラインで多く採用されている。
EETJ 他にIoTの取り組みに関する事例はありますか。
正垣氏 2017年3月には、IBMなど7社で長距離無線通信を低消費電力で実現する「LoRaWAN」を活用した実証実験を福岡県福岡市で行うことを発表した。当社はゲートウェイを中心としたトータルソリューションの提供を行っている。
コンテナ型の植物工場「BlockFARM(ブロックファーム)」も、当社のIoTソリューションで注力する1つである。主力事業の冷熱システム、FAシステム、電子デバイス事業のノウハウを集約しているのが特長だ。事業化や生育支援のサポートまで行っている。
EETJ 2016年1月に開催された「ウェアラブルEXPO」では、菱電商事が取り扱うウエストユニティスの産業用スマートグラス「InfoLinker(インフォリンカー)」を取材しました。共同出展としてブースの規模も大きく、注力している印象があります。
正垣氏 車載や産業機器など注力する市場で、キーワードとなるのがウェアラブルと考えている。InfoLinkerは産業機器の生産ラインで、メンテナンスなどで有効活用できるということで、特に注力して販売している。将来的には医療現場にも展開したい。
EETJ 他のスマートグラスと比べて、何が違うのでしょうか。
正垣氏 産業用に特化しており、重さが約50gでケーブルレスと可能な限りコンパクトである。OSにAndroid 4.2.2を搭載し、スマートフォンなどで操作する必要もない。活用範囲が多岐にわたり、業種に合わせた提案ができる。ソフトウェアパッケージとして、「遠隔作業支援システム」「作業ナビゲーションシステム」「ノウハウ共有システム」を提供しているだけでなく、土木工事や医療現場などへの導入も進んでいる。
EETJ 幅広い事業を展開してますが、散らかったりしないのでしょうか(笑)
正垣氏 散らかっている(笑)。2013年にシステム・ソリューション事業部を設立し、さまざまなアイデアを出して、パートナーを開拓し、ベンチャーにも出資して15個の新規事業が立ち上がった。そのうち1つがヘルスケア事業部として独立し、9つは他の中心事業に組み込む形となった。残りの5つは、まだインキュベーションの段階だ。
EETJ 新規事業が生まれるまでの過程を具体的に教えてください。
正垣氏 当社はグローバルを含めて約3000社の顧客とのお付き合いがある。そうした顧客のニーズを聞き、約200社のパートナーの協力をどれだけ借りられるかを分析した後、15個に絞った形となる。専門知識がない分野は中途採用を多く行っただけでなく、当社も顧客やパートナーと会話するための言語は常に持つように努力してきた。
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