Seoul Semiconductor(ソウル半導体)と東芝マテリアルは2017年6月27日、紫色LEDと独自蛍光体材料技術を用い、太陽光など自然光と似たスペクトラムの光を発するLEDを実現する技術「SunLike(サンライク)」を開発したと発表した。
太陽の光や炎と同じようにLEDも自然な光に――。2017年6月27日、Seoul Semiconductor(ソウル半導体)は東芝マテリアルと共同で、太陽光のスペクトラムと似た光を発することのできるLED技術「SunLike(サンライク)」を開発したと発表した。既に同技術を用いたLEDのサンプル出荷を開始しているという。
太陽光やロウソクの炎、白熱電球などは熱による光(=自然光)と、蛍光灯やLEDの光はスペクトラムが異なる。
特に青色LEDと蛍光体を組み合わせた白色LEDは、自然光に比べ、青色成分が極めて強く、逆に水色や緑色の成分が弱い。そのため、水色などの再現性が劣る。また波長の短い青色成分は人の目に負担を掛けたり、サーカディアンリズム(体内時計)を狂わしたりといった身体への影響が指摘され、青色成分の強いLEDの欠点とされている。さらに青色成分が強いことにより「物体の質感などの再現性にも影響している」(ソウル半導体)という。というのも短い波長の光ほど拡散反射しやすいため「波長の短い青色が多いと物体表面の細かな凹凸で生じる影が、見慣れた自然光下とは違って見える」という。
こうした色の見え方や身体や質感の再現性に影響を及ぼす青色が強すぎるといった課題をクリアするためには、太陽光などの自然光スペクトラムと、LEDの発光スペクトラムを一致させる必要がある。自然光に対する色再現性を示す指標として演色性(平均演色評価数=Ra)を用いられRa97(Ra100が自然光)を誇るLED素子も開発されているが「Ra97でも、青色成分が強いという問題は解決されておらず、一部の色成分で弱い部分も残る」という。
今回、ソウル半導体と東芝マテリアルが開発した技術SunLikeは、こうした課題を解決し「ほぼ、太陽光と同じ光スペクトラムを実現できた」とする。
SunLikeは、ソウル半導体が開発した紫色LEDと、東芝マテリアルの蛍光体材料技術「TRI-R」を組み合わせたもの。紫色の光を蛍光材料で赤、緑、青のに変換し、自然光に限りなく近いスペクトラムを持つ白色を発光するという。
「LEDの発光波長と、蛍光体が色変換できる波長を合致させることが重要。LEDと蛍光体の調整がうまくいかなければ、紫色が透過してしまい他の色よりも成分が強くなってしまう。SunLikeは、双方の波長をうまく合わせることで実現できた」とする。
既にSunLikeを用いたLED製品(COB品/出力6〜25W)のサンプル出荷を開始しているという。
ソウル半導体では、まず、高度な色再現性が要求される美術館などに向けた照明や衣料品などを扱う店舗向け照明などに向けてSunLike適用LEDの提案を進める方針。さらに、ビル照明や「身体に影響を及ぼすとされるブルーライトを抑えられる利点により住居用照明でも需要はあるだろう」(ソウル半導体)
同社では「SunLikeが忠実に色を再現できることを示せる指標が存在しない。Raで表現すれば97と従来の高演色性のLEDと変わりない。ただ、自然光に近いスペクトラムの光を発せられるLEDであることは間違いない。デモボードなども用意しているので、ぜひ、実際に見て確認してもらいたい」と呼び掛けている。
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