STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)のMEMSデバイス、アナログ半導体事業(Analog and MEMS Group/AMG)を統括するエグゼクティブ・バイスプレジデントのBenedetto Vigna氏がこのほど来日し、同事業におけるIoT(モノのインターネット)向けビジネスについて語った。
STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)は、MEMSデバイス/アナログ半導体事業において、IoT(モノのインターネット)分野でのビジネス強化に取り組んでいる。このほど、来日したMEMSデバイス/アナログ半導体事業を担当するSTMicroelectronicsエグゼクティブ・バイスプレジデントのBenedetto Vigna氏に、IoT向けビジネス戦略について聞いた。
Vigna氏が統括するMEMSデバイス、アナログ半導体事業(Analog and MEMS Group/AMG)は、マイコンや各種SoC(System on Chip)などを扱うST全社売上高のうち、23%(2016年実績)を占める事業だ。MEMSデバイスとしては、加速度、ジャイロといったモーションセンサーをはじめ、環境センサーなどのMEMSセンサーの他、マイクやマイクロミラーデバイスなどMEMSアクチュエーターを手掛ける。アナログ半導体としては、主に産業機器向けにモーター制御IC、パワー半導体、LED関連ICを手掛ける。またモバイル機器やストレージ機器などさまざまな用途に向けたカスタムのパワーマネジメントICや、汎用的なアナログフロントエンドIC、各種無線規格向けのRF ICを取りそろえる。Vigna氏はこうした製品ラインアップの広さが、IoT向けビジネスを拡大させる上で「STの大きな武器になる」とする。
Vigna氏は「過去には、特定の製品領域で、専業の競合半導体メーカーにビジネス的な後れを取るケースもみられたが、最近ではそういったことがなくなってきている。半導体業界の合従連衡が進む中で、顧客が吸収合併されないメーカーをビジネスパートナーに選ぶようになっている。他の総合半導体メーカーと比較しても、われわれのように豊富なセンサー製品群を持つメーカーはない。顧客がより総合的なソリューションを求めるようになってきている中で、センサー、アナログ、デジタルの全てを扱っていることが大きな強みになっている」と分析する。
IoT市場の中でVigna氏がこれからビジネス拡大が見込めるのは「ノード領域」だとする。「ノードで取得したデータをクラウド/ネットワークに接続するゲートウェイは多くの場合、スマートフォンがその役割を担っている。スマートフォン向けのMEMSデバイス、アナログ半導体については既に、STは高いシェアを有している。われわれが今後、注力しなければならい領域は数十億、数百億の単位で世の中にばらまかれるノードの領域だ」とVigna氏はノード領域に注力する理由を説明する。
その上で、「ノードには必ず、マイコンなど演算制御を行う「デジタル半導体」、センサー/アクチュエーターといった「入出力デバイス」、そして入出力デバイスとデジタル半導体の中間で信号処理を行ったり、電源供給を行ったりするための「アナログ半導体」の3つが必要になる。入出力デバイス、アナログ、デジタルの全てを扱うデバイスメーカーは他にない」という。
STのIoT向けビジネスの現状についてVigna氏は「順調だ」と言い切る。「IoTは、ウェアラブル端末など身の回り周辺のモノをスマート化する“Smart Things”、家やビルといった建物や街をスマート化する“Smart Home&City”、そして工場をスマート化する“Smart Industry”というアプリケーション市場が存在する。この3つの市場いずれでも、STは既に多くの採用実績を持ち、シェアが高い製品も多い。STはこの3市場いずれをもターゲットとして、ビジネス拡大を進めていく」という。
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